WRC6連覇の伝説を残した「ランチアの雄」デルタ モータースポーツの活躍で根強いファンを獲得
東洋経済オンライン / 2024年2月24日 11時30分
ラリーで活躍したフランスのルノー「アルピーヌA110」(1963年)やルノー「8ゴルディーニ」(1964年)も根強い人気を誇る。今ではデザインアイコンのようになっているシトロエン「DS」(1955年)だって、1959年のモンテカルロラリー優勝という経歴を持つ。
プジョー「205GTI」(1983年)が高い人気を集めたのも、WRCやパリ・ダカールラリーでの活躍が影響している。
イタリアではフェラーリ、フィアット、フィアット・アバルト、ランチア、アルファロメオを筆頭に、多くのキラ星のごときブランドが、レースやラリーで活躍したモデルを手がけてきた。
イタリアには、一般の人もこうしたクルマを買って、クラブレースなどを楽しむ文化もある。
ランチアも数々の名車を生み出してきた
今回の主題であるランチアといえば、まず思いつくのが「アウレリアB20GT」(1950年)。
1950年代にミッレミリア、タルガフローリオ、カレラ・パナメリカーナ・メヒコといった数々の公道レースでポルシェやメルセデス・ベンツを向こうに回し、すばらしい結果を残したモデルだ。今でもクラシックカーとしての人気は、ものすごく高い。
そんなランチアのブランドイメージをうまく生かしたのが「デルタHF」であり、「デルタHFインテグラーレ」だ。
親会社のフィアットは、先だって1971年にフィアット・アバルト「124ラリー」、1976年に「131アバルトラリー」といったラリーカーを開発したが、124は2座スポーツカーだし、131はモータースポーツイメージとかけ離れたセダンだった。成長する(当時の)若者市場にアピールするならハッチバック、と考えても不思議ではない。
そこで焦点が当てられたのが、フォルクスワーゲン「ゴルフ」の対抗馬として開発され、1979年に発売されたハッチバック、ランチア「デルタ」。
全長3885mmの4ドアハッチバックボディを、2475mmのホイールベースをもつシャシーに載せたコンパクトモデルだ。私は1.6リッターエンジンの標準モデルに乗ったことがあるが、すばらしいコーナリング性能を発揮してくれるクルマだったことを鮮明に覚えている。
ゴルフGTIにならって高性能化
ホットハッチなどと呼ばれる高性能ハッチバックの人気はヨーロッパではずっと高く、ランチアでもゴルフGTIが開拓した市場に向けて、デルタを高性能化した「HF」や「HFターボ」を追加。さらに、「デルタHF 4WD」を開発してWRCを走らせた。
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