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熱海の復活「昼賑わっても夜は閑散」の厳しい現実 高齢化やコロナの影響で店は早い時間に閉店

東洋経済オンライン / 2024年2月24日 11時55分

「この辺は熱海の中心で、昔はみんな17時頃になるとソワソワしだして、早い時間から飲み始めるくらい地元の人も酒好きの人が多かった。それが4、5年前からどんどん店が早くに閉まりはじめた。飲食店が空いてないから人も来ないし、人が来ないから店も開けない。賑わっているのは観光客相手の安価な店だけですよ。それも早い時間に閉まっちゃうから。店主たちも高齢化し、後継者もいないから、店を続ける気力がなくなっちゃうんだよ」

タクシー利用は近距離がメイン

熱海は比較的コンパクトな街で、観光なら徒歩での移動も十分に可能だ。しかし、急勾配の坂が多く、徒歩だけでの移動となるとかなり労力が必要となる。そのため、市民の足としてもバスやタクシーの需要は大きい。

現在、熱海市内には約220台のタクシーがある。しかし、夜になると稼働するタクシーの数は極端な落ち込みをみせる。熱海駅のタクシー乗り場を訪れると、昼間は待機を含めると10台ほど確認できたが、19時頃にはわずか1台となっていた。51台と市内で最大規模のタクシーを運行する「小形タクシー」代表の渥美好永さん(84)が解説する。

「熱海は坂道が多く、タクシーは近距離の乗車回数を多くこなすような営業になります。利用者の約6割が地元の方で、日中に集中しています。ウチも夜間は10台を切るほどしか車を出せず、夜がほんとうに動かない。コロナ前までは夜も動いたんですが、今はそうなってしまった。結局、店が開いてないから人も動かず、タクシーの乗務員も働きたがらない、となってしまっています」

熱海が若者から人気の観光地として復活したのは、行政の熱意によるところが大きい。テレビを中心としたロケ地の誘致に注力し、ほぼ無償で制作協力を行うことで、熱海の名前の露出を増やしていくことに腐心した。

実際に筆者の知人のテレビ局ディレクターも「困ったら熱海」というほど、業界内でもロケ地として使いやすい場所になっているという。インバウンド頼みの観光地が多い中で、国内の観光客に訴求する広報戦略は十分な成果を生み出している。

ただ、長年宿泊業も営んできた前出の渥美さんは、熱海という土地柄が、観光客を宿泊に結びつけることを難しくしているとも感じている。

「もともと熱海は外国人観光客が多くなくて、それは今でも同様です。国内の宿泊者に関しても、以前は花火大会の際に多くの人が宿泊してくれましたが、今は日帰りの人が本当に増えました。観光は根幹産業ですが、夜が動かないから伸ばせないというジレンマを抱えている人はたくさんいます。しかし、個人事業主がほとんどで、後継者がおらず営業できないからどうしようもない、という面もあります。

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