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非営利の美術館が堅実に利益を出している理由 公益の財団法人が積極的に営業活動をする意味

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 18時0分

大原美術館の外観(写真:PIXSTAR/PIXTA)

社会の仕組みを知ることは、不必要なコストを払うことを避けられるようになるなど、身を助けることにもつながります。本稿は、『クリエイター、アーティスト、フリーランスが読んでおきたい会計の授業 ギャラをいくらにする?』より一部抜粋・再構成のうえ、「非営利」団体の事業活動について解説します。

「非営利」の意味とは?

あるとき、瀬戸内の島々にアートを鑑賞する旅に出て、最後に倉敷の大原美術館を訪ねました。大原美術館は、日本初の私立西洋美術館として、倉敷紡績株式会社の社長・大原孫三郎氏が私財を提供し、1930年に開館しました。

モネの「睡蓮」など世界の名画などが集められた90年以上の伝統を誇る美術館ですが、地域や企業との連携を積極的に図って、さまざまな鑑賞会を企画し、SNSで毎日発信するなど来場者を増やす取り組みをされています。

この大原美術館は、公益財団法人という営利を目的としない団体ですが、どうして営業活動を熱心にやっているのでしょうか?あるいは「公益を名乗るのに、営業活動をしていいの?」と思う方もいるかも知れません。

実は、この「営利を目的としない(非営利)」というのは、事業をしてはいけないという意味ではなく、普通の会社のように事業をおこなって得た利益を、団体の構成員(会社なら株主、財団法人では評議員)に分配せず、その団体の活動に使わなければいけないという意味です。

つまり、公益財団法人も、設立目的の範囲内で事業活動をおこなってよいのです。「公益」とか「非営利」という言葉から、無償のボランティア活動と思う方も多いようですが、それは違います。

どんな団体でも存続していくためには活動資金が必要です。お金がなければ活動に必要な資材なども買えません。そこで働いている方もいますが、趣味や娯楽ではなく、お仕事ですのでお給料を払わないといけません。

ということは、運営にかかるお金以上に稼げないと続けられないことになります。自立して運営していくためには、お金を稼ぐ商い(ビジネス)の感覚を持つことが大切になります。

大原美術館が公表している「公益財団法人大原美術館 令和4年度事業報告書」を見てみますと、年間収入約4.5億円、経常利益約4千万円と、堅実に利益を出されている状況が読み取れます。

収入の大半が入館料で、通常の事業活動で利益を出しています。企業を経営する資産家の方が設立者ですが、趣味や娯楽で運営されているものではありません。

大原美術館はどうして存続できているのか

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