人事が知らないとマズい「採用」より大切な仕事 採用の背景にある「人員計画」の策定の方法
東洋経済オンライン / 2024年2月26日 19時0分
現場のリーダーは、優秀な人材は手放したくありませんし、そうでない人材は他部署への異動を願ったりします。一方、自ら異動を希望する社員もいます。たとえ本人が望まなくても、さまざまな部署を経験させることが必要だったりもします。全国展開の会社だったら、転勤させる場合には家庭の事情を考慮する必要もあるでしょう。
現場の要望はもちろんですが、「この人はこういうキャリアで成長させるべきだ」「この人がもっと活躍できる場はないか」といった人事側の想いも大切になります。人事担当者は、さまざまな要望や個別の事情、自身の想いなどを反映しながら調整と交渉、説得を繰り返して、配置や異動、採用の計画を立てていくのです。
3月決算の会社であれば、11月頃から人事担当者が各部門にヒアリングを行い、来期に向けての状況を確認していきます。併せてメンバーの来期以降の育成方針や異動方針、あるいは課題などを聞きます。各部門の来期予算の提出は、年内12月頃までが多いでしょう。
2月初旬までに来期予算、組織、部長などの主要人事、定員計画の策定を行います。2月中旬から3月上旬までに要員計画と人員計画の策定と人員異動調整を行い、3月中旬には、4月からの組織や人員を確定し、社員に対して内示をします。この間に異動や転勤の可否などの個別事情も勘案するため、さまざまな調整業務があります。
小さな会社の人事がまずやるべきこと
ある程度大きな会社では、このようにして人材配置や採用を決めていきますが、小さな会社では基本的に経営者が人事を兼務しています。そのため「3人ぐらい採れたらいいんじゃない?」「2人しか採れなかったけど、まあいいか」といった大雑把な感覚で配置や採用を行っていることがほとんどでしょう。
しかし、社員数が100名くらいまで増え、人事担当者を置くというステージに行けば、やはりそれだけでは厳しくなってきます。人事担当者に任命された人は、まずは社内の人員構成を確認することから始めてみてください。
たとえば、年齢構成です。何歳の人がどれだけいるのか。誰も辞めなければ5年後はみんな5歳年を取ります。平均年齢が50代になっているかもしれません。これは簡単にわかりますよね。となれば「やっぱり若手を入れたほうがいいよね」「20代は無理でも30代前半の人を採ろう」など、採用すべき人材の年齢層が見えてきます。
年功序列の会社では、社員の給料も5年分上がります。毎年給料を上げていっても会社は持つのか、人件費が毎年2%上がっていったらどうなるかのかなど、社長と一緒にシミュレーションしてみてください。中長期的な人件費を予測すれば、採用だけでなく、給与・厚生、評価・育成など、今後の人事施策の方向性が見えてきます。
5年後には定年になって会社を辞める人もいれば、定年後再雇用で残る人もいるでしょう。3年後、5年後に会社の事業がどうなっているかは読めないかもしれませんが、人がどうなっているのかは意外と簡単に予測することができます。
経営者は多忙なので、今後の人事について漠然と考えていたとしても、年齢構成をシミュレーションしている時間はないでしょう。人事担当者になった人は、まずはこうした計算から始めてみてください。そのうえで経営者と向き合い、1人ひとりの社員について「あの人どうしましょう」「今度こういう仕事をさせたらどうですか」といった話を常にするようにして、自社の人員計画について考えていきましょう。
アルファポリスビジネスの関連記事
「管理職」に相応しい人材に共通するたった2つのポイント
経営者や人事はもっと「採用」に慎重になれ
経営層は知っておきたい、「人事」に必要な資質と能力
アルファポリスビジネス編集部
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
障害者雇用未達で「社名公表」寸前からの挽回劇 法定雇用率クリアへの3年で見えた成果と課題
東洋経済オンライン / 2024年6月30日 9時0分
-
「資格取ったら最大1000万円超」──予算はどう調整? KADOKAWA人事に聞く裏側
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年6月19日 7時30分
-
入社1年目で上司の指示を拒否!「身勝手すぎる新入社員」を待ち受ける“2つの選択肢”
日刊SPA! / 2024年6月18日 15時51分
-
会社に突然「シニア社員のモチベーション革命」を託された40代男性。悩んだ末に導き出した「斬新な解決策」は…
Finasee / 2024年6月17日 12時0分
-
新入社員の意向尊重か?企業の人員充足か? 人事担当者の悩み「配属先の伝達時期」...入社後4割も、改革進む企業続出
J-CASTニュース / 2024年6月7日 19時47分
ランキング
-
1「大正製薬の広告炎上?」怒る人は本当に多いのか 企業はネットでの批判に翻弄されるべきではない
東洋経済オンライン / 2024年7月5日 18時40分
-
2ワークマンの「暑い日に履きたい、通気性抜群のシューズ」3選 980円の「ボーンサンダル」はカワイイ&歩きやすい
Fav-Log by ITmedia / 2024年7月4日 5時55分
-
3宝くじに当たる「確率」ってどれくらいなの?
オールアバウト / 2024年7月5日 21時40分
-
4不倫相談士は見た 第2回 PTAは不倫の温床? 恋に狂った妻には届かない“ダブル不倫の絶対ルール”とは
マイナビニュース / 2024年7月4日 16時0分
-
5【早期発見のために】乳がん、大腸がん、肺がん、子宮がん、胃がん、食道がん…“予兆”の可能性がある「体からの警告」
NEWSポストセブン / 2024年7月5日 16時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください