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「第2青函トンネル」議論はどこまで進んでいるか 津軽海峡にもう1本、貨物と新幹線が別々に走る

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 6時30分

北海道新幹線は2016年3月に新函館北斗へと開業して雪と闘いながら安定輸送を築いている(湯の里知内信号場)(写真:山井美希)

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2024年4月号「北海道新幹線札幌延伸に千秋の期待と重い現実」を再構成した記事を掲載します。

北海道新幹線は新函館北斗ー札幌間の建設工事が続けられている。工事は一部で遅れているが、国としては2030年度末の開業時期を取り下げていない。また、並行在来線のあり方を巡ってはさまざまな動きがあり、さらに広域の物流問題も絡んでなかなか今後の方向が見えてこない。そこで今、実際にどこでどのような話があるのか関係者に聞き歩いてみたが、そのうちここでは、北海道新幹線の今後のあり方とリンクする物流問題に関して抜本策として提案されている第2青函トンネルの話題を取り上げてみたい。

【写真】 函館山を望みながら道南いさりび鉄道線を走り青函トンネルに向かう上り貨物列車。青函トンネルは津軽海峡の荒波も関係ないルートだ

青函トンネル内の新幹線 2種類の速度引き上げ

「新幹線」であるにもかかわらず在来線貨物列車と線路を共用する青函トンネルでは、貨物列車とのすれ違い時に地震が発災した際の安全性への懸念から、新幹線開業時には列車の最高速度が時速140kmに制限された。それまでの特急列車の速度に事務的に合わせた規制である。だが、それでは新幹線本来の高速性が削がれることになり、新幹線開業前の2012年から国の運輸政策審議会に「青函共用走行区間技術検討ワーキンググループ(WG)」が置かれ、実際の走行も検証して、まずは2019年3月改正で共用区間のうち青函トンネル内のみ最高速度を時速160kmに引き上げた。

同WGでは2点目の課題として時速200kmを目指す検討も行った。こちらは新幹線列車と貨物列車の走行時間帯を分ける「時間帯区分案」を採用、2020年から貨物列車の運転が減る大型連休時や年末年始に限り行うこととし、同年ゴールデンウイークから時速210km運転が実施された。これで東京ー新函館北斗間は初めて4時間をきった。

このWGの検討をさらに深掘りするため2017年には「青函共用走行区間等高速化検討WG」が設けられた。その検証結果から、本年のゴールデンウイークから時速260km化が図られる。

だが、いずれにしても時間帯区分では通年で実施するには課題が多く、首都圏対札幌の時間短縮に資する新幹線の高速化は解決のめどが立たない、国としても悩ましい課題の1つになっている。現在、盛んに貨物新幹線が言われ、軽量の生鮮品や急送品輸送は実証実験から事業へと発展したものもあるが、貨物全体から見たボリュームはわずかなもので、在来線貨物輸送を肩代わりするものではない。宅配便のパレット輸送なども提案されているが、本格的に貨物を新幹線に移すことはかなり困難である。そもそも線路施設が重量貨物列車の通過を想定していないのだ。

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