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「成長で財政は黒字化」と高をくくる人に伝えたい 借金をツケ回すコスト=利払い費が増えてゆく

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 8時0分

いったん赤字国債を発行すると、利払いのためにさらに発行するスパイラルに(写真:Ystudio / PIXTA)

通常国会で審議中の2024年度予算政府案。一般会計において、歳出総額のうち国債発行(公債金収入)で賄った割合を示す公債依存度は、31.5%と、2023年度当初予算の31.1%よりも若干悪化している。

【グラフ】バブル景気で赤字国債とオサラバしたが、公債依存度はバブル崩壊後に上昇、高止まりが続いた

2023年12月22日に一度閣議決定された2024年度予算政府案では、31.2%とほぼ横ばいとなるはずだった。しかし、2024年元日に発災した能登半島地震に対応するための予備費を5000億円増額することにし、それを国債の増発で賄うとしたため、前掲の公債依存度となった。

今を生きる国民が便益を受け、後代が支出を賄う

バブル崩壊後、公債依存度は悪化の一途をたどった。

バブル景気を背景に税収が増えたこともあって、当初予算ベースで1990年度(決算ベースでは1991年度)に赤字国債を発行しないことにできたが、バブル崩壊後の税収減の影響もあって1994年度からは赤字国債を再び発行せざるをえなくなった。

公債依存度は、決算ベースで1991年度の9.5%から1994年度には22.4%、1996年度には27.6%まで上昇した。

赤字国債を発行するということは、後代に便益が直接及ばない経常的な財政支出を賄うのに、その便益を受ける、今を生きる国民がその分だけ税負担をせずに後代にツケ回していることを意味する。

インフラ整備のための公共事業費に充当することを想定して発行される建設国債は、残されたインフラから便益を受ける後代の国民に、建設費の一部を負担してもらう役割を持つ。しかし、赤字国債は、結果的に社会保障給付などに充てられるもので、今年の社会保障給付は、今年給付を受けた国民にしか直接便益が及ばない。

もちろん、今を生きる国民が生きている間に後年その分の税負担を負えば責任を全うしたことになる。ただ、そのためには、赤字国債として後年にツケ回した返済負担を、生きている間にきちんと負う予算編成をしなければならない。

つまり、公債依存度を下げて、国債返済のために税財源をきちんと充てる予算編成が必要である。

景気対策で国債増発、震災後も高止まり

しかし、1990年代後半以降のわが国の一般会計における公債依存度は、さらに上昇した。

在任中に「世界一の借金王」と自嘲した小渕恵三首相の下で予算が編成された1999年度には、公債依存度は決算ベースで42.1%に達した。景気対策のために国債を増発したことが主因だった。

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