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「成長で財政は黒字化」と高をくくる人に伝えたい 借金をツケ回すコスト=利払い費が増えてゆく

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 8時0分

その後、小泉純一郎内閣の下で財政健全化に取り組み、2007年度に公債依存度は決算ベースで31.0%まで低下したが、その後リーマンショックが起き、2011年3月には東日本大震災が起きた。公債依存度は、2011年度決算で53.7%に達した。一般会計歳出の過半を借金で賄うという事態だった。

非常時には国債を発行して対応せざるをえないとしても、平時に戻れば国債への過度な依存から脱却してゆくべきものである。しかし、その後も公債依存度は高止まりした。公債依存度が決算ベースで40%を割るのは、消費税率を8%に引き上げた2014年度だが、3分の1(約33.3%)を割ることがないまま、コロナ禍を迎えた。

2020年度は、新型コロナウイルスの感染拡大に直面し、新型コロナ対策のための膨大な財政支出のために国債発行は未曽有の規模に達し、公債依存度は決算ベースで73.5%と、一般会計歳出の4分の3近くを借金で賄うという異常事態になった。

新型コロナ対策のための財政支出が減り、経済活動も再開されて税収が増えるにつれて、公債依存度は2021年度に39.9%、2022年度に38.1%と下がった。

しかし、東洋経済オンラインの拙稿「『デフレ完全脱却』の政策はデフレマインド丸出し 需要刺激の大型補正予算をコロナモードで賄う」で詳述した巨額の補正予算で、国債を増発した結果の公債依存度であるから、無駄な財政支出を減らせていれば、公債依存度はもっと下がっていたはずである。

収支黒字化しても公債依存度は悪化

2023年度の公債依存度も、冒頭で示した当初予算での31.1%から、巨額の補正予算のせいで34.9%まで上昇している。2024年度は、物価高騰をあおらないようにするためにも、国債発行に依存した大型補正予算は慎むべきだろう。

では、今後の公債依存度はどうなるだろうか。

1月22日に内閣府が公表した「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)には、一定の仮定を置いて推計された今後の公債依存度をみることができる。

中長期試算によると、2030年前後の名目経済成長率が3%強と見込む成長実現ケースでは、2025年度には公債依存度が30%を割るものの、2028年度に25.3%で底を打ち、それ以降は上昇に転じるという。今の財政構造のままでは、公債依存度が25%を下回ることはないというのである。

確かに、国の一般会計の基礎的財政収支は、中長期試算の成長実現ケースによると、毎年度徐々に改善してゆき、2030年度には0.3兆円の黒字になる(ちなみに、目下の財政健全化目標は国だけでなく地方自治体の分も含んだ基礎的財政収支で、これを2025年度に黒字化することを目標としている)。

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