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物流現場「8時だョ!全員集合」という悪しき慣習 2024年問題は荷主側の協力がないと解決不可能

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 15時0分

(写真:千和/PIXTA)

2024年4月からトラックドライバーを含む自動車運転業務の時間所定外労働時間の上限規制(年間960時間)が導入され、ドライバー不足問題が一層厳しさを増すことが想定される。これが物流の「2024年問題」である。

【図表】企業間でも物流2024年問題の認知度はあまり高くない

この上限規制には罰則規定があるため、年間960時間(目安として月80時間)を超える時間外労働に当たる仕事は「できない・やらない・断らざるを得ない」というシナリオが想定される。

いまだに問題認識できていない企業も多い

だが、実際には現在の物流はドライバーの過剰労働によって成り立っている部分もある。このシナリオが現実のものとなってしまった場合には、「今までどおりモノが運べない」という状況に陥る可能性は小さくなく、これが産業界全体に拡大すると、経済活動の停滞につながりかねない。これが「物流危機」と言われる所以である。

近年の日本の歴史の中で、物流が滞った経験はほぼないため、各産業とも、いまだわが身の問題として捉えられていない状況にあるとみられる。実際、筆者がセミナーなどを行う際も、「何をどうしていいかわからない」という参加企業は少なくない。

だが、2024年問題も含めたドライバー不足問題は、トラック運送事業だけではなく、荷主、産業界を含む日本全体で真剣に目を向けなければならない課題なのである。

今回の上限規制を含む「働き方改革関連法」の制定と関連して、トラックなどの自動車運転者の労働条件の改善を図るために、拘束時間、休息期間、運転時間等の基準を定めた「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」も見直しの検討が行われ、4月から適用となる。

その中で、1年の拘束時間(始業から終業までの時間)が、現行の「3516時間」から「原則3300時間」へと短縮される。この年間拘束時間3300時間は、時間外労働の上限規制年間960時間とほぼ同様の水準である。

問題解決には発着荷主との連携が不可欠

1年の拘束時間が「原則3300時間」への改正により、営業用トラック輸送において「不足する輸送能力」の観点での影響の定量的な試算を行った。この試算は、経済産業省などによる「持続可能な物流の実現に向けた検討会」で、当該検討会の委員である筆者が示したものである。

この状況を乗り越えるには、規制の当事者である物流事業者の自助努力が重要であることは言うまでもない。ただし、物流事業者、特にトラック輸送の現場で働くドライバーの仕事の内容は、発荷主との契約、指示に基づくものであり、物流現場の改善には、発着荷主(荷物の出し手と、受け取り手)間の取引条件の見直しが必要不可欠とのことが、前述の検討会の最終とりまとめでは明示された。

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