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物流現場「8時だョ!全員集合」という悪しき慣習 2024年問題は荷主側の協力がないと解決不可能

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 15時0分

具体例をあげれば、卸売業者着荷主先に指定時間通り午前8時に着いても、同じ時刻に20台ものトラックが集中し、荷卸しの順番待ち時間が発生、長い時には荷卸し開始が午前11時になることも。3時間の「荷待ち時間」である。

こうしたケースでは、着荷主がすべての仕入先(発荷主)に午前8時の時間指定をしているならば、いつまでたっても荷待ち時間は解消できない。この改善には、例えば着荷主が仕入先(発荷主)によって指定時間をずらす、すなわち納品時間という発荷主との間での取引条件の見直しが必要となる。

また、手で荷物を1つずつ荷下ろし・運搬する「手荷役」から、パレット(工場、倉庫、コンテナ、トラックなどで荷物を載せる荷役台)荷役に変更することで荷下ろしなどの効率化が望めるが、これも発荷主と着荷主との間で、パレットサイズの統一やパレットの管理、返却などの仕組みを検討、導入してもらわないと実行できない。

このような中、昨年6月に政府から「物流革新に向けた政策パッケージ」が発表された。ここでは「抜本的・総合的な対策を『政策パッケージ』として策定。中長期的に継続して取り組むための枠組みを、次期通常国会での法制化も含め確実に整備」するとしている。

その後、2024年2月13日、物流の持続的成長を図るための法案が閣議決定された。

特に荷主・物流事業者に対しては、1)物流効率化のために取り組むべき措置について努力義務を課し、それについて国が判断基準を策定、2)一定規模以上のものを特定事業者として指定し、中長期計画の作成や定期報告などを義務付ける、3)中長期計画に基づく取り組み状況が不十分な場合、勧告・命令を実施する、4)特定事業者のうち荷主には物流統括管理者の選任を義務付けるーーなどの規制が設けられた。現在会期中の2024年通常国会で、本法律案が可決成立される見込みだ。

荷待ち時間の削減は荷主の理解と協力が必須

今回の改正の影響に関する定量的な試算では、参考として、「荷待ち時間と荷役時間の削減を見込んだ場合、輸送能力の不足の解消が見込まれる」としている。

具体的には、荷待ち時間1時間34分のうち17分短縮、荷役時間1時間29分のうち9分短縮すればよいことなのである。筆者の経験では、現場での理解や工夫で可能なことに思え、運送事業者と荷主の協力にて改善に取り組むことが望まれる。

特に、荷待ち時間の削減については、荷主の理解と協力により改善できる現場が少なくない。

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