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大阪交通事情、「55割」の次は空飛ぶタクシー? 「タクシーの現場はカオス」 ②大阪編

東洋経済オンライン / 2024年2月26日 8時0分

また、夕刻の中之島付近ではホテルでもタクシーは来ず、流しは一向に拾えない。ようやく拾えたタクシーの運転手は、こんなことを話した。

「市内中心部で、日中に流しで捕まえるのは困難です。今は日中のお客さんは7、8割が外国人。彼らは大阪城や海遊館、ユニバーサル・スタジオ・ジャパン近くなど、私たちが普段行かない場所から乗る。ドライバーもそれがわかっているから、そこを狙う。ドン・キホーテの袋を両手に持った3~4人グループを見かけると、『チャンスだ』と(笑)。もはや大阪はインバウンドで成り立っている街ですわ」

2024年に入って改めて大阪を取材すると、ターミナル駅での行列や夜間でのタクシー不足は幾分、解消されているようにも映った。街中でタクシーを拾っても、ネガティブな声はあまり聞こえてこない。タクシードライバーの視点に絞れば、タクシー業界をとりまく状況は劇的に改善されつつあった。 

大阪ドライバーの年収は東京上回る全国1位!

大阪タクシー協会によれば、2023年12月の平均日車営収は4万2693円となった。これは2年前比で実に8000円近い上昇となる。

また全国ハイヤー・タクシー連合会によると、大阪のタクシー運転手の年間推計賃金平均は437万円(2022年度調査)。何と東京をも上回り、全国1位となっていた。

市内の複数の企業を取材する中、個別の月間売り上げを確認したが、2023年12月は200万円を超える者すら散見された。これらの数字はドライバー不足の影響が多大で、台数が減って仕事量が増えたことが、個々の売り上げ増につながっていることを示唆している。

そんな背景もあって前出の町野代表は、タクシー不足の根幹にあるのは「企業努力不足」と結論づける。稼働率ほぼ100%を保っている同グループの強みを同氏が解説する。

「110社以上のタクシー会社がある大阪で、しっかりと人が採れているのはわずか10社ほど。現在の売り上げで考えると、人が集まらないほうがおかしい。タクシー業界は慣習的に求職者視点が欠けており、同業間でも『人が集まらない』という愚痴も耳にする。

ただ、それは一言で言うなら努力不足。ウチのグループには昨年1年間で50人以上が入社しています。増員できた理由はシンプルで、売り上げや月収をデータとして明示できたこと。そんな当たり前の努力を怠る会社が多いのも現実です」

では現場目線では、タクシー不足をどう感じているのか。弁天町で出会った歴45年の78歳ベテランドライバーはこう打ち明けた。

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