4月生まれは「能力が高い」と言われる本当の理由 生まれた月の差ではなく学習機会の差が原因だ
東洋経済オンライン / 2024年2月27日 17時0分
運動についてはわかった。では勉強はどうなのか? というと、こちらもやはり統計的には「デキル子」は4月〜6月生まれが多いことがわかっています。
一橋大学の川口大司准教授が、国際学力テスト「国際数学・理科教育動向調査」の結果を分析したところ、4月〜6月生まれの子の学力は他の時期に生まれた子よりも相対的に高いことが明らかになっています。
ここでは詳細な説明は割愛しますが、川口准教授によると、日本の中学2年生(約9500人)と小学4年生(約5000人)の数学と理科の平均偏差値を生まれ月ごとに算出した結果、4月から順に月を下って3月まで、奇麗に平均偏差値が下がること、4月〜6月生まれの平均偏差値と1月〜3月生まれの平均偏差値とでは、およそ5〜7程度の差があること等がわかっています。偏差値で5〜7ということは志望校のランクが一段違うということですから、これは下手をすると人生にインパクトを与える差になりかねない、ということです。
小学校1年生や2年生であれば、4月生まれと3月生まれで学力に差が発生するということは感覚的に納得できますよね。小学校1年生は7歳ということですから、4月生まれの子は月数ベースで誕生以来84カ月の学習を積み重ねている一方、3月生まれの子は73カ月の期間しかなかったわけで、およそ13%ほど学習期間が短いということになります。学習量の累積が1割以上違うのであれば、それはそれで差があるだろうというのはまあわかりますよね。
ところが川口准教授の研究では、中学2年生と小学4年生でも同様に4月生まれと3月生まれで差があることがわかっています。中学2年生といえば14歳ということですから、誕生以来の累積学習月数は、4月生まれであれば168カ月、3月生まれであれば157カ月ということでその差分は7%弱にしかなりません。この差が、平均偏差値であれだけの差分につながるというのは学習理論の枠組みでは説明できません。
この差異は、科学社会学における「マタイ効果」によって説明できると考えられています。科学社会学の創始者であるロバート・マートンは、条件に恵まれた研究者は優れた業績を挙げることでさらに条件に恵まれる、という「利益─優位性の累積」のメカニズムの存在を指摘しています。
ロバート・キング・マートン(1910〜2003):アメリカの社会学者。科学的社会学の発展に大きな業績を残した。「マタイ効果」や「予言の自己成就」など、今日広く用いられることになったコンセプトを提案した。
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