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ゼロゼロ融資で増えた「ゾンビ企業」の生存戦略 資金繰りに苦しむ企業はどうすればいいのか

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 7時0分

企業の資金繰りが立ち行かなくなった際の保証協会の代弁の件数を見ても、コロナ禍の減少とアフターコロナの増加の兆候は明らかである。ちなみに、代弁という段階に至る=倒産ではないが、実質的には経営破綻という状況に陥っているとみていいだろう。

予備群の資金繰りが破綻する可能性

この表をみると、2011年から2019年までの平均代弁件数は年間5万件強あったが、2020年以降は、ぐっと減って2万~3万件で推移しており、単純計算で累積8万5000件弱が平時の件数より少なかったことになる。

残念ながら、市場から退場する企業は一定割合で発生することは避けられない、という前提に立てば、その分の件数が代弁予備群として先送られた状態だ。ゼロゼロ融資の返済が開始時期を迎えたということは、この先送りした予備群の資金繰りが破綻する可能性があることを金融機関としては、想定せねばならない。これは政府系金融機関においても同様であることは言うまでもない。

こうした3年半分、先送られた予備群に加えて、平時でも発生してきた年間5万件程度の企業の資金繰りが一斉に困窮した場合、金融現場における融資業務にとって大きなしわ寄せが発生する。現場窓口には、返済を延滞する懸念がある企業からの資金繰り、事業継続に関する事前相談が急増するであろうし、ある日突然、延滞したり、倒産してしまうケースも増えるだろう。

資金繰り困窮に関する条件変更対応(返済条件を緩和して返済を少なくしたり、一時繰り延べること)や延滞、倒産といった手続きは、平時に融資を審査し、実行する手続きよりも何倍、何十倍も手間がかかる、というのが実情である。

近年、倒産件数の減少もあって、金融現場では条件変更や企業破綻対応に習熟した人材は多くはない。バブル崩壊直後の金融界では、こうした債権管理回収の熟練者が多数いたのだが、20年たった今、彼らのほとんどが定年を迎えて金融の現場にはいない。特に信用金庫といった地域密着型の中小金融機関は人材が豊富とは言いがたく、元気な企業の資金調達を支援する前向きの余力を失わせる可能性さえある。

ここからやってくる本当の「融資審査」

ここまで聞いていると、ゾンビ企業を産み出したゼロゼロ融資が悪の根源であり、政府の無策が混乱を引き起こしたように聞こえるかもしれない。国が100%保証したことで、金融機関の審査や経営管理が甘くなったからだ、という指摘もあるが、この融資が「災害対応」として緊急的にすべての企業の時間を先送ることを目的としていたのであり、そんなことは当たり前なのである。先送れば、必ずその分の審査や経営管理を、後でまとめてやらねばならない、というだけだ。

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