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「SHOGUN 将軍」リアルな日本描写を世界が絶賛 巨額予算に込められた「欧米でもウケる」という自信

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 12時30分

一般大衆に最もリーチできるテレビ、とりわけスポーツ中継と、若い層に効果的なソーシャルメディア、どちらにも惜しみなく投資するのは、これらの幅広い層にウケるはずだという自信があるからだろう。

せりふの約7割は日本語

その根拠は、何よりもまず作品の出来。出演者の大多数は日本人で、日本人の視聴者以外は彼らのせりふ(全体のおよそ7割)を字幕で読まなければならないものの、アクションはふんだんにあり、かなりショッキングなバイオレンスもあって、娯楽性たっぷりなのである。

人も死ぬし、政治的かけひきもあり、緊張感の張り詰めた中でどんどん話が進むことから、批評家の間では『ゲーム・オブ・スローンズ』のようだという声も聞かれる。

実際、それはなかなか言い得ている。すなわち、『ゲーム・オブ・スローンズ』のファンだった人はこれも好きになるはずで、もしそうならそれらの人の数は膨大ということになる。ちなみに、批評家受けはすばらしく、この記事を執筆している段階で、Rottentomatoes.comの点数はなんと100%だ。

タイミングも絶好。Netflixの『イカゲーム』や『BEEF/ビーフ〜逆上〜』の大ヒットは、欧米の若い人たちは出演者がアジア系であることを気にしないのだということを証明した。Netflixが昨年末に公表したアクセスデータにも、上位に韓国の作品が複数入っている。

1980年に一度ドラマ化された小説をリメイクする企画は長いことあったもので、完成が今になったのはあくまで偶然。2019年には、撮影開始を目の前にしながら振り出しに戻り、新たな脚本家のもとに再スタートさせているのだ。

そこでもまたお金がかかったわけだが、そのおかげで良いものができただけでなく、遅れもまた結果的に功を奏し、受け入れられる体勢ができているところへ満を持して現れることになったわけである。

日本をリアルに描写

だが、日本人としてこのドラマをすばらしいと感じさせるもうひとつのことは、そういった潜在的な幅広い視聴者の多くがおそらくまるで気にしないであろう、細かい日本の描写にもしっかりとお金を使ってくれていることだ。

過去にハリウッドは、日本人が見ればすぐ日本で撮影していないとわかる日本を、何度となく映画やテレビに出してきた。『SHOGUN 将軍』は、それを一切やらない。撮影場所であるカナダのブリティッシュ・コロンビアに作られたセットは、引きのショットでも、クローズアップでも、まるで日本人によって日本で作られたもののように感じ、違和感がまるでないのである。

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