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「東京メトロ」上場前に知っておくべき注目点 2つの新線、不動産開発、都営地下鉄との関係…

東洋経済オンライン / 2024年2月27日 6時30分

銀座駅入り口に光る東京メトロのマーク。株式上場がいよいよ具体化に向け動き出す(撮影:尾形文繁)

東京都が1月26日に公表した2024年度予算案。都市整備局29項目の中に新たな項目がいくつか追加されていた。その1つが「東京地下鉄株式会社の株式に係る売却関連経費」。金額は35億7000万円とある。都議会で予算案が可決されればという前提だが、東京地下鉄、つまり東京メトロの株式上場がいよいよ具体化に向けて動き出す。

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東京メトロの株主は国(財務大臣)と東京都。国が53.42%、都が46.58%の株式を保有する。国の持ち分を売却して得た収入は東日本大震災の復旧・復興のために発行した復興債の償還費用財源とすることが特別措置法で定められている。当初は2022年度までに株式を売却する予定だったが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響などもあり、売却期限は2027年度に延期された。

国と都が株式を同時に売却

2021年7月、国土交通大臣の諮問機関である交通政策審議会が行った答申において、東京メトロ株について、「国と都が当面株式の2分の1を保有することが適切である」としたうえで、「国と都が共同で手続きを進め、同時・同率で売却をすることが重要である」と明記された。つまり、国と都は同時に売却することになる。

国と都が株式の50%を保有するというのは、かつて、西武ホールディングス株の35.48%を保有していたアメリカ投資ファンドのサーベラスが上場時期をめぐって経営陣と対立したことが念頭にある。国と都が株式の50%を保有していれば、株主総会で不都合な普通決議が提案されても両者で阻止することができる。

2022年3月に財務相の諮問機関である財政制度等審議会が東京メトロ株の売却に関する答申を行った。株式売却は「特定の個人・法人に集中することなく、広い範囲の投資家を対象」とした。つまり、株式を上場するという方針が決まった。その実施時期については、政府が「証券・金融市場の動向等に特段の配慮をして、売却時期等については慎重に判断する」と明記された。この年の5月、国と都は東京メトロ株の売却を担う主幹事証券会社として、野村證券、みずほ証券など5社を選定したと発表した。

そして2024年。日経平均株価は年明けから上昇基調を続けている。2月22日にはバブル最盛期の1989年12月29日につけた終値の市場最高値3万8915円を34年ぶりに更新した。できるだけ高値で売りたい国や都としては申し分ない市場環境だ。

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