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霊能者の予言「当たっている」と思うカラクリ インチキに惑わされるのは企業の偉い人も同じ

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 10時30分

たとえば、もともと優れた製品やサービスを提供していて、売上高や利益が高い企業ほど、最新のマーケティングのアイデアを試す傾向が強いという可能性も考えられる。グーグルの従業員への待遇や、アマゾンの会議の進め方、フィンランドの学校の授業のやり方、アメリカのネイビーシールズ軍特殊部隊のマネジメント法など、表面的な部分をただ真似ようとしても、これらの優れた組織に匹敵する業績を挙げられるわけではないのと同じ原理だ。

インフルエンサーを用いたマーケティングが本当に成功をもたらすかどうかを検証するには、医学の臨床試験と同じ手法を当てはめなければならない。すなわち、類似した企業を大量に被験者に見立て、インフルエンサー戦略を用いるグループとそうでないグループにランダムに分け、その戦略が成功したかどうかをグループ間で比較する必要がある。

もちろん、これを実施するのは現実的ではない。けれども、証拠を得にくいからといって、目の前の1事例だけを見て、それが確かな証拠だと信じ込むのは間違っている。

たとえば、サッカーの試合を、ボールを保持している側だけに注目して見ていると、そのチームの戦術を読み解くチャンスは得られる。だが、守備側が攻撃に対してどのような戦術を用いているか(いないか)については知ることができない。

この集中力の欠点は、詐欺師やマーケティング担当者が人をだまして間違った選択をさせるために用いるありふれた手段の前提になっている。彼らが情報を隠す必要はない。ただ重要な情報を省略して、それについて考えないように仕向ければいいのだ。

私たちがこの問題に対処するためには、「何が欠けているのか」と問う必要がある。重要な決断をする前にそうすることで、何かの真偽を判断するために、本当に必要な情報は何かを考えやすくなる。

目の前にない重要な情報が何かを整理するために便利なのが、「可能性グリッド」と呼ばれるシンプルなツールだ。2×2の4マスから成るグリッドを想像してみよう。

外れることのほうが多い霊能者の予言

霊能者のケースに当てはめると、上段には予言がなされた場合、下段には予言がなされなかった場合が該当し、左列は実際に起こった出来事、右列は起こらなかった出来事が該当する。つまり左上のマスには、霊能者がある出来事を予言し、その出来事が実際に起こったケースが当てはまる。超能力者が、予言を的中させて有名になるような場合だ。

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