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霊能者の予言「当たっている」と思うカラクリ インチキに惑わされるのは企業の偉い人も同じ

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 10時30分

右上のマスは、予言が実現しなかったケースが当てはまる。左下は、霊能者が、すべきだったができなかった予言が当てはまる。このマスに該当することを想像するのは難しい。なぜなら私たちは、人が「何をしなかったか」よりも「何をしたか」に注目しているため、このボックスについて考えること自体が難しいからだ。

リチャード・サンダースの研究チームは、20年以上にわたって何百件もの世界的な重大事件について調べたが、そのうち有名な霊能者によって予言が的中したものは1件もなかった。これらの事件には、スペースシャトル「コロンビア号」の大事故、20万人以上の死者を出した2004年のインド洋大津波、ノートルダム大聖堂の大火災、新型コロナウイルスのパンデミックなどがある。これらもすべてこの左下のマスに該当する。

最後に、右下のボックスには、どの霊能者も予言せず、実際に起こらなかった出来事(たとえば、「筆者の最新作がピューリッツァー賞を受賞する」など)が入る。

この可能性グリッドを使うと、左上のマスに入る成功事例を、他の3つのマス(ここに該当する出来事や逸話は、あまり印象的なものにはならない)の可能性と併せてとらえられる。

次に可能性グリッドを用いて、マーケティング戦略を分析してみよう。グリッドの上段は企業が対象となるマーケティング戦略を試したケース、下段は試さなかったケースになる。左列は成功した製品、右列は失敗した製品が入る。

価値があるのは成功よりも失敗の履歴書

たとえば、ハッシュパピーの活き活きとした説得力のあるストーリーを聞くとき、私たちはインフルエンサーによる採用が売り上げ増加につながった左上のマスのケースのみについて学んでいることになる。そのような偏った視点に陥らないよう、私たちは同様のインフルエンサー・マーケティングを実施して失敗した企業、挑戦せずに成功した企業、挑戦せずに失敗した企業についても、一歩立ち止まって考えるべきなのだ。

私たちにモノやサービスを売る相手は、人を説得して何かをさせる他の行為と同様、どの情報を提示し、提示しないかをコントロールしている。左上のマスにあるものについて延々と説明し、他のマスについては言及しようとしない。だからこそ私たちは、相手から提示されたものだけではなく、できるかぎり多くの証拠を集めたうえで決断しなければならない。

筆者の経験上、企業の意思決定は表面的なものである。だからこそ「何が欠けているか」を尋ね、それがなぜ重要なのかを説明することは、たとえ面倒だと思われたとしても、意味のある行為になる。

ダニエル・シモンズ:心理学者

クリストファー・チャブリス:心理学者

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