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「不適切にも」とブラッシュアップライフの共通点 命を守るために、過去を変える物語になるか?

東洋経済オンライン / 2024年2月28日 12時0分

第5話で物語のトーンがこれまでと一気に変わった。市郎と顔を合わせた渚とゆずるは当初、2人が亡くなっていることを隠そうとするが、市郎は渚の話を思い出して、純子が亡くなっていることを察する。

しかし、動揺することも悲嘆に暮れることもなく、純子と渚のビデオを温かい目で見たり、子どものころの渚を抱いてやれたことに喜び、温かい笑顔を浮かべる。令和社会に物申す、これまでの暑苦しい昭和のおじさんの姿はなかった。

そうなると、第4話までのミュージカルシーンもない。これまでは、昭和の名曲をモチーフにアレンジした歌で、市郎が踊りながら声高に令和社会への昭和人のメッセージを伝えていたが、第5話はミュージカルの形だけは残ったものの、市郎はほぼ参加していなかった。

そしてなにより、タイトルに絡まない内容のまま、第5話は終わった(昭和社会にいる令和人のサカエ(吉田羊)による、昭和の進学指導の適当さやPTA費のずさんな管理へのツッコミはあったが、ラストのミュージカルはメッセージには絡んでいない)。

後半に差し掛かる第6話からのストーリーがどちらに向くのかは、まだわからない。

気になるのは、タイムリープものの王道である、命を守るために過去の出来事を変える物語になるのではないか、ということだ。

昨年1月期に話題になったバカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)は、事故で死んだ主人公が自分の人生を生き直すコミカルな物語であり、主人公がタイムリープするという点では『不適切にもほどがある!』との共通点がある。

だが、『ブラッシュアップライフ』は後半から、同級生を乗せた飛行機の墜落を防ぐために何度も生き直すサスペンスストーリーへと一転した。

それまで楽しく見ていた視聴者を驚かせるとともに、突然のシリアスな展開がより物語へと引き込み、登場人物たちに共感を抱かせた。同時にコミカルな要素は損なわないところが、バカリズムのうまさだった。

一方、昨年10月期の深夜枠で人気を得たタイムリープドラマ『時をかけるな、恋人たち』(関西テレビ・フジテレビ系)では、過去を変えてはいけないために、起こった出来事は変えずに、そこに関わった人たちの心が少しでも救われるように駆け巡るタイムパトロール隊員たちの奮闘が描かれた。

そこでのエピソードで、突然亡くなった妻の死は変えられないけれど、過去に戻って、亡くなる前に思いのたけを伝える夫の話があった。悲しい事実は変わらないが、そのあとを生きる人の心には小さな救いが残る。未来を知っていても事実(死)を変えられない切なさ、つらさに胸が締めつけられるが、その思いはいまの生き方を考えさせることにつながっていた。

『不適切~』は、王道を踏襲するのか?

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