快進撃のトランプ氏「13指標」で見た再選の現実味 過去の大統領選を的中、リットマン氏に聞く
東洋経済オンライン / 2024年2月28日 9時0分
トランプは多くの世論調査でバイデン大統領の支持率を上回っているが、バイデン優勢を示す世論調査もある。世論調査を見ても、確かな動向などつかめない。トランプ前大統領の判決がまだ出ていないことを考えると、なおさらだ。裁判の行方次第では、情勢が一変する可能性がある。現段階での世論調査は「無意味」の一言だ。
――トランプ前大統領に有罪判決が下ったら、大統領選にどのような影響が及ぶでしょうか。
大統領選前に、何らかの事件で有罪判決が下る可能性は高い。世論調査に影響が出るだろう。とはいえ、私の選挙予測には何ら影響は及ばない。見てのとおり、13のカギのうち、トランプ前大統領に関するものは「対立候補にカリスマ性がない」という最後の指標だけだ。13のカギを見れば、世論調査を信頼すべきではない理由がまた1つ増えるのがわかるだろう。
共和党予備選「トランプ氏が独り勝ち」のワケ
――教授は4年前、大統領選は「現政権による統治への信任投票」だと言いました。だとすれば、「統治」に失敗して国民の信任を得られず、再選されなかったトランプ氏が、なぜ共和党予備選で独り勝ちの様相を呈しているのでしょう?
岩盤支持層によるトランプ人気はアメリカ政治における「驚くべき現象」であり、前代未聞だ。トランプが2015年6月に翌年の大統領選への出馬を宣言して以来、彼の支持率は一貫して40%前後を保っている。トランプが何をしようが、支持率に何ら影響が出ないのだ。
なぜか。現状に不満を抱える白人有権者の心をつかんだからだ。彼らは、トランプが「自分たちのために戦ってくれる」と信じている。戦ってくれるかぎり、「彼が何をしようが支持する」と考えているのだろう。トランプが岩盤支持層をしっかりつなぎとめている理由は、そこにある。
彼らはトランプへの批判など歯牙にもかけない。しょせんバイデン派や社会主義者、ロビイストや既得権益者といった「スワンプ(汚水・泥水)」が言っていることだと考えている(注: 2016年大統領選で、トランプ氏は「Drain the Swamp(汚水を抜く・泥水をかき出す)」をスローガンに、米政界の汚職や既得権益を一掃すると訴えた)。
一方、バイデン政権や民主党は発信力に乏しい。1960年代(に公民権法などを誕生させた民主党のリンドン・ジョンソン大統領)以来、バイデンほど、内政で多くの成果を上げた大統領はいない。彼の「統治」は上々だが、有権者には、それが伝わっていない。だから、支持率に反映されず、低迷し続けている。
トランプ氏再選で「独裁政治」のリスク
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