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名店監修の「ラーメン鍋スープ」が300円しない理由 ダイショーが市場を開拓、「鍋=冬」常識にも変化

東洋経済オンライン / 2024年2月29日 11時50分

そして、注目したいのが「売価の安さ」だ。

ダイショーのラーメン店監修の鍋スープの参考小売価格は378円(税込)で 、筆者がスーパーマーケットで買った「名店監修鍋スープ 天下一品京都鶏白湯味」の価格は279円(税抜)。

もちろん、そこにはスーパーの涙ぐましい販売努力もあるだろう。

しかし、300円弱で「天下一品」監修のストレートスープ(濃縮されておらず、希釈せずに使えるスープ)が買えるというのはちょっとすごいことだ。容量は3~4人前の700gとたっぷり入っている。

名店監修のチルド麺やカップ麺が値上がり傾向にある中、鍋スープはぶっちぎりの安さである。ちょっと安すぎると言ってもいいだろう。

「発売したものの根付かない可能性もあるので、他の鍋スープと統一価格にしました。通常の鍋スープよりも容量を少し少なくするなどして工夫しています。社内には値付けを失敗したと言う人もいますが、何とか続けています」(岡田さん)

ここには鍋スープの「300円の壁」があるという。ラーメン店には「1000円の壁」があるが、鍋スープ業界にも価格の壁があったのだ。

「購買層は主婦がメインなので、値段の壁はどうしても存在します。300円を超えると一気に売り上げに響くんです。最近はむしろもっと値段は下がっていく傾向でした。その中で今までの価格をキープできただけでも良かったと思っています。

この商品はリピートも多いですし、まとめ買いされる方も多いです。しっかり数が売れていれば大丈夫なので、しばらくはこの価格で続けていきます」(谷口さん)

「鍋=冬」イメージ、しかしラーメンは季節を問わない

ラーメン店監修鍋スープは社内でもかなりの主力商品として期待されている。

売り上げ目標も増え、シリーズとして複数商品を揃えての店頭展開を狙っている。ラーメン屋台風の拡材を制作し、スーパーマーケットや量販店に営業をかけている。

「これだけ売れていると後発も次々出てくると思いますので、まずは後発に飲み込まれないラインナップづくりが求められます。今後も注目の名店監修商品が発売されていきますので、ぜひ楽しみにしていただければ嬉しいです」(林さん)

ところで、この記事を読みながら「もう結構暖かくなってきたのに、鍋の話題?」と思った読者もいるに違いない。

たしかに、春に向けてだんだんと暖かい季節になってきているが、ラーメン店監修商品は、春夏も継続して展開してくれるお店が増えてきている。ラーメンに季節が関係ないことが鍋スープ業界にも影響し、もともと秋冬用だった鍋スープに革命が起きているのだ。

もはや国民食のラーメンは、鍋業界にも、大きな影響を与え始めているのである。

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

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