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「供給ショック」に対応、日本の"耐久力"の力強さ エネルギー資源は海外頼み、どう策を講じる?

東洋経済オンライン / 2024年3月1日 15時0分

過去の石油危機など、日本は供給ショックに対する耐久力を高めてきました (写真: barks / PIXTA)

投資を行う際は、個別企業の業績にせよ、マクロ経済にせよ、状況を分析することが大きな武器となります。たとえば、インフレなどは世界的に進行していますが、賃金については国内外で大きな差があり、そこから投資の機会をうかがうことができます。金融ストラテジスト・岡崎良介氏の新刊『野生の経済学で読み解く 投資の最適解』を一部抜粋・再構成し、その状況の一端を垣間見てみましょう。

日本の製造業労働力は国際競争力を持っている

日本の賃金からデフレ圧力が消え、替わってインフレ圧力が広がっていることも事実です。このインフレ圧力を生み出しているのは景気です。この景気を支える三大要素は、消費、投資、輸出ですが、このなかで労働市場にいちばん影響を及ぼすのが、投資です。

【グラフ】日米年間平均時給比較(民間部門全産業)

たとえばTSMC(世界最大規模の台湾の半導体メーカーです)が、デンソーやソニーと組んで1兆円規模の工場を熊本に建設するという話だけでなく、海外企業の日本への工場建設や、日本企業の国内回帰の動きがここにきて加速しています。

ここまでの日本での工場建設の話は主に、国家的な戦略ともいえる半導体関連の設備投資となっていますが、それだけではありません。様々な角度から分析して、日本でつくることに「利」があるからです。

図表は日米の民間部門全産業の平均賃金を比較したものです。比較しやすいようにアメリカのそれは年間の平均ドル円レートを掛けて円建てにしています。

※外部配信先ではグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

円高の影響もあり10年前までは若干日本のほうが高かったのですが、この10年は完全にアメリカの労働者の賃金が日本を上回っています。このグラフは全産業で比較しましたが、これを工場で働く製造業に限定すると、たとえば2022年の日本の製造業平均時給(一般社員+パートタイマー)は2749円と計算されました。これに対してアメリカの製造業の2022年の平均時給は30.97ドルです。

これに年間の平均ドル円レート131.46円を掛けると4072円となり、なんと日本の製造業の約1.5倍です。日本の複雑な賃金体系を考慮して、さらにこのデータを一般労働者(正社員)に絞ると、日本の製造業の平均時給は2912円となりますが、これと比較してもアメリカの製造業労働者の賃金は1.4倍の高さです。

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