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志尊淳「今の時代の中、俳優として生きる決意」 杉咲花に寄り添った『52ヘルツのクジラたち』

東洋経済オンライン / 2024年3月1日 13時0分

2023年12月に事務所を退所した志尊淳さん。変わったという「人生観」とは――(撮影:長田慶)

俳優としてのキャリアをスタートしてから12年間、志尊淳は役柄の幅を着実に広げ続け、若手実力派俳優の一人として広く注目されている。特に昨年はNHK連続テレビ小説『らんまん』での好演が記憶に新しい。

【写真】2023年12月に事務所を退所した志尊淳さん。変わったという「人生観」とは?

澄んだ瞳と透明感あふれる存在感を持つ志尊だが、このインタビューでは彼の言語表現能力と深い思考力が際立っていた。

多様な価値観に揺れる時代の中で俳優として生きる

例えば、冒頭で筆者の「今の時代における俳優が果たすべき役割をどのように考えているのか?」という質問に対して、間髪をいれずに答える。

「難しいですね……個人的な意見になりますけど、現代社会ではメディアを通じて自分自身を表現することが一般的です。しかし、情報がさまざまなフィルターを通過する過程で、意図した通りに伝わることもあれば、断片的にしか伝わらないこともある。このように情報が切り取られて伝えられることは、大きな課題だなと感じています」

「しかし、僕にとっては……」と、多様な価値観に揺れる時代の中で俳優として生きる決意を続けた。

「夢を持ち続けることが何よりも重要だと思っていて。シンプルですけど、作品を通して人々に何かを伝えたい。メディアの在り方や情報の出口が変わってきている中で、何が正しいかをつねに探求しています。SNSの普及により、テレビが主流だった時代と比べて、今は多様な情報にアクセスでき、それを自分の考えで判断できる時代。俳優として、自分の思いを伝えることも大切ですが、それ以上に、作品を通して何を届けるかを選択し、それに取り組むことが重要だと感じています」

本屋大賞受賞『52ヘルツのクジラたち』が実写化

そんな志尊が挑んだ作品が映画『52ヘルツのクジラたち』だ。タイトルの“52ヘルツのクジラ”とは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴くクジラのこと。仲間に声をかけられないため、世界で一番孤独だと言われている。

志尊が演じるのは家族に人生を奪われてきた主人公・三島貴瑚 (杉咲花)の声なきSOSを聞き取り、救いの手を差し伸べる塾講師の岡田安吾。安吾は、生まれたときに割り当てられた性別は女性で、性自認は男性である「トランスジェンダー男性」として深い孤独を抱えている。

「この作品はさまざまな社会問題を取り上げていますが、岡田安吾役として挑むにあたり特に重視したのは社会問題そのものよりも、個人(岡田安吾)に深く寄り添うこと、そしてその表現を深く追求することでした。物語や個人の感情に深く寄り添うことができれば、観る人が自然と関心を持ち、さらに調べてみたいと行動に移すキッカケが生まれるかもしれない」

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