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エネオスHD、異例の「東燃出身」社長が誕生の深層 セクハラ解任の後始末で「黒バット」文化も激変

東洋経済オンライン / 2024年3月1日 17時30分

宮田知秀ENEOSホールディングス次期社長(右)と、山口敦治ENEOS次期社長(左)。非日石、製造畑出身のトップが選任された(撮影:尾形文繁)

ENEOSホールディングス(エネオスHD)は2月28日、東燃ゼネラル石油出身の宮田知秀副社長(社長代行)が4月から社長に就任する人事を発表した。

【写真】街中から姿を消したEsso(エッソ)ブランド。宮田新社長は東燃ゼネラル石油出身となる

同日、記者会見に臨んだ宮田氏は、「一連の不祥事でグループの信頼を失望させた」と謝罪したうえで、「自分はそういうこと(不適切行為)は一切しない」と宣言した。

エネオスHDでは2023年12月、懇親の場で同席していた女性に抱きつくというセクハラ行為により斎藤猛社長が解任され、社長ポストが空席になっていた。

女性関連の不祥事が3度続く異例事態

2022年8月には、当時の杉森務会長が沖縄の飲食店で女性従業員に性加害を加える事件を受けて辞任。今年2月には子会社のジャパン・リニューアブル・エナジーの安茂会長もセクハラ行為で解任されるなど、経営トップによる女性関連の不祥事が3度続く異例の事態。

今回の新社長の人選では、会長をはじめとする社内取締役や執行役員から候補者が推薦され、優先順位をつけられ指名諮問委員会に提示された。第三者機関が現在や過去の同僚や部下らにヒアリングし、本人へのインタビューや性格診断テストなども加えて適性を審査した。

指名諮問委員会では「社外からの招聘も検討すべきでは」との意見も出たが、最終的に「(会社から提示された)優先順位は妥当と判断した」(指名諮問委員会の工藤泰三委員長)という。

新社長となる宮田氏は東京工業大学大学院で原子力工学を専攻し、1990年に東燃に入社。同社で和歌山や川崎の工場長を歴任してきた製造畑の人物だ。

売上高2兆円規模の東燃ゼネラルが8兆円近くのJXホールディングス(いずれも2016年度)に吸収統合され、JXTGホールディングスが誕生したのが2017年(2020年にエネオスHDに改称)。

JXHD自体も旧日本石油(日石)を主体に複数企業が再編を重ねてきた歴史を持つ。東燃ゼネラルとの統合以来、社長ポストはつねに旧JXHD、それも旧日石出身者が押さえてきた。

統合当時、東燃ゼネラルの社長を務めていた武藤潤氏は、2020年に鹿島製油所の運営会社社長に就任する形でエネオスHDの経営から退いた。現在、エネオスHDの常勤取締役は宮田氏以外すべて旧日石出身者が占めている。

経営トップの不祥事が相次ぐ緊急事態とはいえ、東燃ゼネラル出身者がエネオスHDのトップに就くのは極めて異例と言える。

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