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血糖値が高い人も低い人も軽視してはいけない訳 激しい変動も要注意、疲れを招き命にかかわる場合も

東洋経済オンライン / 2024年3月2日 12時30分

そして血糖コントロールにかかわる最も危険度が高い問題は、「血糖値変動」と呼ばれる状態だ。これは1日のうちに血糖値が激しく変動する状態をいう。

研究によると、糖尿病があってもなくても、日常的な血糖の平均値を決める最も大きな因子はこの血糖値変動であり、昔から言われるリスク因子とは関係なく、糖尿病の合併症を引き起こす最大のリスク因子になっているという。

血糖値の変動が「ミトコンドリア」に影響する

細胞はグルコースを燃料とするため、血糖値が激しく変動したり、ずっと低いままだったり、ずっと高いままだったりすると、疲労を感じる。

また血糖値が安定しないと、ミトコンドリアに悪影響が及ぶせいで、激しい疲れを覚える場合もある。

血糖値が下がりすぎた状態は「低血糖」と呼ばれる。この症状はかなり急性のもので、ひきつけや呼吸停止、心臓発作など突然死を招くこともある。

人間という種が生き残るために、人類は進化の段階で、低血糖を起こさないための強力な予防策をいくつか準備してきた。たとえば、肝臓はつねにグルコースを血中に送り出し、1日を通して血糖値を一定に保とうとするし、血糖値が下がりすぎると副腎が大急ぎでアドレナリンを放出する。

治療が必要なほどの低血糖症はそれほど数が多くないとはいえ、低血糖を軽視するのはやめたほうがいい。成人の3人に1人は食後に低血糖の症状を経験するうえ、これが糖尿病患者の成人になると4人のうち3人にまではねあがる。これはたいてい糖尿病の治療薬のせいだ。

この症状は「反応性低血糖」と呼ばれ、食後2~5時間ほど血糖値が下がりすぎる状態を指す。きっかけはさまざまで、胃が急激に空になったときや、腸ホルモンが過剰に分泌されたとき、過剰なインスリン反応が遅れて起きたとき、インスリン抵抗性が代償性高インスリン血症【訳注/インスリンの効きが悪いために膵臓がインスリンを分泌しつづける状態になること】を引き起こしたとき、または甲状腺機能低下症があるときなどに起きる。

食事のあと血糖値が低いままだと、筋肉や組織、さらに脳のような器官が使えるエネルギーの量も少ないままになる。

食後血糖値が低すぎるとどうなる?

人間の脳にあるニューロンが最も多くのエネルギーを必要とするため、血中からつねにグルコースの供給を受けなければならない。脳の重さは体重のわずか2%だが、グルコースの消費量は体内で最も多い。なんと、グルコースが生み出すエネルギーの20%だ。

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