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「出世渇望する男性描く」清少納言の共感呼ぶ文才 「春はあけぼの」だけではない日常描いた文章

東洋経済オンライン / 2024年3月2日 9時30分

そのほかに、このようなシーンもあります。清少納言は「可愛く思う子供を坊さんにしたのは、大変、気の毒なことだ」と語ります。

なぜでしょうか。「世間の人が、坊さんを木の切れ端か何かのように、つまらぬ者と思っている」からだと言います。

精進物はとても質素であり、居眠りするのさえ、側からやかましく言われる。若いうちは、好奇心もあるだろうに、女性がいるところに行くこともできないなんて「不自然だ」とも清少納言は言うのです。

「ちょっとくらい、そういうところに、行ってもいいじゃないか」と清少納言は言うのでした。なんと理解がある平安女性でしょうか。 

修験者ともなると、更に苦しそうに見えると清少納言は書いています。疲れて居眠りしていても「居眠りばかりしおって」と文句を言われるからだと言います。

清少納言の文才が垣間見える

「身の置き所がなく、どんなにつらいだろう」と同情しています。しかし、最後の一文には、どんでん返しの一言も書かれています。

「ただし、こんなことはもう昔のことのようだ。今は、ひどく気楽そうだ」と。この落差といいますか、どんでん返しの展開もある、清少納言の文才。なかなかのものと感じるのは、私だけでしょうか。

(参考文献)
・石田穣二・訳注『新版 枕草子』上巻(KADOKAWA、1979)
・渡辺実・校注『枕草子』(岩波書店、1991)

濱田 浩一郎:歴史学者、作家、評論家

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