発売37年目「まるごとソーセージ」過去最高のナゼ 総菜パン人気で山崎パンの商品戦略に異変?
東洋経済オンライン / 2024年3月2日 7時50分
ロングセラー商品が、発売37年目にして最盛期を迎えている。山崎製パンの総菜パン「まるごとソーセージ」だ。1987年の発売以来、定番商品として親しまれてきたが、2023年に過去最高の売り上げを記録した。
【写真】現在開催中の「春のパンまつり」は40年以上の歴史を誇る。ランチパック(1984年発売)や、コッペパン(1986年発売)よりも歴史は長い
まるごとソーセージの店頭価格は150円前後、カロリーは1個当たり396キロある。ふんわりとした大きめのパンに、ソーセージをまるごと一本載せたボリューム感が売りの主力商品だ。
この2年ほど、原材料高や包材高、円安の影響で多くの食品が値上げラッシュとなった。一方で思うように賃金が上昇しない中、消費者の節約志向は強まっている。まるごとソーセージの人気からは、そんな購買行動が浮かび上がる。
総菜パンの人気が高まる
山崎製パンの業績を牽引するのは菓子パンだ。2023年の売上高1兆1756億円のうち4333億円(構成比36.9%)を占め、調理パン・米飯類(13%)、洋菓子(12.9%)を大きく上回る。
2023年は菓子パンの売上高を14%も伸ばした。子会社が増えたことや値上げ影響に加えて、4%の数量増加が貢献している。
最大勢力の菓子パンの中で売り上げトップを誇るのが、まるごとソーセージだ。圧倒的なコストパフォーマンスが支持されて、不動の人気を誇る(同社の菓子パンとして10年連続で1位)。
ちなみに2位は薄皮つぶあんぱん、3位薄皮クリームパン、4位ランチパック(たまご)、5位コッペパン(ジャム&マーガリン)、6位ランチパック(ピーナッツ)という顔ぶれになっている。
まるごとソーセージが好調な背景には、昼食などに選ばれる回数が増えていることがある。飲食店のランチやコンビニ商品の価格が上昇する中、菓子パン2個と飲み物の組み合わせならボリュームを重視しつつ500円以内に収められる。
さらにコロナ禍の影響が薄れ、外出が増加したことで持ち歩ける菓子パンの需要が伸びた面もある。
ランチパック(たまご)が人気を集めるのも同様の理由で、ランチや朝食として購入する人が増えている。コロナ禍前の2019年時点では、ランチパックのピーナッツがたまごの数量をわずかに上回っていたが、2021年以降はたまごが逆転した。安くて手軽に食べられる総菜系パンの需要は高まっているようだ。
「薄皮シリーズ」が進化した
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