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発売37年目「まるごとソーセージ」過去最高のナゼ 総菜パン人気で山崎パンの商品戦略に異変?

東洋経済オンライン / 2024年3月2日 7時50分

こうした変化を踏まえて山崎製パンでは、総菜パンのさらなる強化を進めている。

人気の薄皮シリーズは、つぶあんやクリーム、ピーナッツなどの定番に加え「りんご入りカスタード」「生キャラメルクリーム」など、甘口のフィリング(詰め物)が中心だ。食事よりも軽食、おやつといった側面が強かった。

しかし1月には、新たなフィリングとして「ハンバーグ&ケチャップ」、「たまご」を投入。2月は「ポテトサラダ」「ナポリタン」など、本格的に総菜のフィリングを発売。これらのラインナップを「薄皮グルメシリーズ」として展開する。食事のための総菜パンという位置づけだ。

食品の値上げラッシュは落ち着いてきたものの、消費者の節約へのニーズは強い。ボリュームのある総菜パンを拡充し、さらに節約需要を取り込めるかが、2024年のテーマになりそうだ。

新製品開発にとどまらず、主力製品の見直しにも力を入れている。たとえばメロンパンの重量をアップするなど、満足感や食べ応えを重視する姿勢を徹底する。

発売40周年のランチパックでは、通常の食パンよりも厚切りのパン、ボリューミーな具材を入れた新商品を投入。4種類の味を楽しめる商品、国産果実のジャムを使用した商品なども打ち出した。フルーツジャムは訪日外国人にアピールする狙いもある。

背景には主原料である小麦粉の価格が下がったことがある。価格は下げずに採算を重視しつつも、消費者を逃がさないようマイナーチェンジで商品力を磨く。ボリュームだけでなく女性開発者による新商品も広げるなど、攻めの商品開発を行っている。

ここには飯島延浩社長の「顧客の支持を得て、採算もとれる商品を作ろう」という指示が影響している。以前は「しっかり原価をかけて商品を開発する」方針だったが、世間の価値観も変化しつつある。より自由な発想で開発を進めようというわけだ。

飯島社長の長男・副社長に代表権

2024年、山崎製パンは売上高が前期比4%増の1兆2230億円、営業利益は同14%増の480億円を見込んでいる。油脂や砂糖、包装資材など原材料高の影響はまだ残るが、自社の商品に加え、コンビニ向けなどで新商品を投入し、単価を底上げしていく構えだ。

子会社群も、ケーキの不二家や調理パン、米飯、総菜を手がけるサンデリカ、ベーカリーのヴィ・ド・フランスなどがそれぞれ改善し、業績を押し上げる計画になっている。

さらに3月28日付で、飯島幹雄副社長(57)に代表権が付く人事も発表した。82歳の飯島社長の長男であり、会社側は公式に説明していないが、次期経営トップ人事のメドが付いたとみてよいだろう。

消費者の変化をとらえ、大胆な商品戦略に舵を切る山崎製パン。課題だった原料高も落ち着き、次期経営体制にも布石を打った。2024年は一段の成長を試す1年となりそうだ。

田邉 佳介:東洋経済 記者

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