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寿命を延ばそうと糖質制限する人の"落とし穴" 長寿遺伝子サーチュインは活性化するが…

東洋経済オンライン / 2024年3月3日 11時30分

本来、糖質などの炭水化物は我々人体にとって好ましいエネルギー源です。特にアスリートなどの激しい身体活動を行う人の場合、炭水化物の摂取が大幅に制限されると、エネルギーレベルの低下、疲労、運動能力の低下につながってしまいます。

炭水化物の不足は、体を維持するための燃料として脂質を使用することで順応できます。しかし脂質分解の程度が強すぎた場合は、脂質をエネルギーに変換するのに手間取り、運動活動中は効率的ではないことになってしまい、問題が発生する場合があります。

糖質制限は、穀物、豆類、芋類などのでんぷん質を多く含む野菜の摂取を避けるか、極端に制限することと同一視されている場合が多いようです。これらの食品の摂取制限により、肉食が極端に増加してしまい、結果的に好き嫌いの助長、伝統的な日本的食習慣から逸脱し、食生活の社会的状況を満たすことが困難になってしまいます。

また、欠乏感を引き起こし、長期的にこの食生活を続けることが難しくなる可能性もあります。炭水化物が極端に制限されると、炭水化物よりも多くの脂肪、特に飽和脂肪を摂取することにつながります。飽和脂肪の多い食事は、心臓病のリスクを高め、コレステロール値を上昇させ、その他心臓血管の健康に悪影響を与える可能性があります。

もし、十分な管理のもとで糖質制限が行われれば、前述した肥満の抑制や寿命が延びるなどの利点も得られますが、その継続には極端な自己管理が必要です。ちなみに、私にはとてもできない芸当です。

糖質制限を実施した場合は、飽和脂肪やトランス脂肪を最小限に抑えながら、ナッツ、種子、アボカド、脂肪の多い魚などの健康的な脂肪源摂取を優先することが重要です。

糖質制限は日本人には感覚的に合わない?

人によっては、厳格な糖質制限を長期にわたって維持することが難しい場合もあります。本来、農耕民族である日本人にとって、肉類を主体とした糖質制限食は、感覚的に受け入れられない方法なのかもしれません。毎日肉食を続けると、体は麺類などの炭水化物を欲します。お酒を飲んだら締めのラーメンを食べたくなるのが、まさにそうです。

糖質制限食の場合、ビールも日本酒もダメです。焼酎やウイスキーは残留糖質が少ないですが、アルコールも炭素と、酸素、水素から構成されている炭水化物の一種ですので、厳しくいえばこれら蒸留酒の摂取もできません。ましてや、蕎麦やラーメンも食べられないなんて、私にはとても耐えられません。

このように、限られた食品しか摂取できないことに対する不満感や、定食屋で定食を注文したら必ずご飯がついてくるなどの潜在的な社会的制限により、さまざまな状況でその食事法を遵守することが困難になりやすい側面もあります。

もし、持続可能な食事方法の変更が可能で、過剰な努力や犠牲を払わずにライフスタイルに組み込むことができるならば、この糖質制限は成功する可能性が高くなるのかもしれません。

今井 伸二郎:代謝機能研究所所長

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