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34年ぶり最高値「日経平均」が次に目指すところ 「思い出プット」を超えることこそ重要だ

東洋経済オンライン / 2024年3月3日 10時0分

実質賃金は低下し、経済は冷え込んでいるというのに株価が上がるのはなぜなのか(写真:Ystudio/PIXTA)

日経平均株価が、史上最高値をついに超えた。しかし、これは、日本経済がマイナス成長に陥っていることと矛盾する。最高値再現は、「そこまでは安全」と人びとが信じたからだろう。われわれが本当に見るべきものは、経済の実態だ。昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第115回。

経済はマイナス成長なのに、なぜ株価が上がる?

株価が高騰を続けている。2月22日に、1989年12月29日につけた史上最高値、3万8915円87銭を超えると、3営業日連続で最高値を更新した。

しかし一方で、経済はマイナス成長を続けている。そして、実質賃金は低下している。実体経済と株価の動きは、どう考えても矛盾している。

今年に入ってからの日本の株価の上昇率は、アメリカのそれより高い。日本がマイナス成長で、アメリカがプラスの成長を続けていることを考慮すれば、これは何とも説明がつかないことだ。

日本の株価が上がる理由として、いくつかの説明がなされる。まず、これまで中国に向かっていた投資が、中国経済の不調で日本に流れ込んでいると言われる。あるいは、いまは極端な円安なので、外国から日本に投資をする場合、将来円高になったときに、為替差益が得られる可能性が高い、とも言われる。しかし、いずれも説得的でない。

また、円安で企業の利益が好調だと言われるが、それは一部の大企業に限られた現象だ。大企業を見ても、過去に比べて飛躍的に利益が増加しているわけではない。

では、なぜ株価が上がるのか?

現在の株価高騰について、次のような説明はどうだろうか?

それは、「過去に経験したことがある株価水準は、いつかは再び実現できる」と、多くの投資家が信じているということだ。

これまでは、現実の株価との乖離があまりに大きすぎたから、最高値再現と言われても現実的なものとは考えられなかった。しかし、それに近づいてきたので、最高値再現が現実的なものと捉えられるようになってきたのではないだろうか?

もちろん、過去に実現したことがあるからと言って、必ずそれを再現できるわけではない。だから、これは根拠のない期待だ。しかし、株価の場合(あるいは、資産取引一般について)、多くの人々が信じれば、それは実現するのである。

ケインズの美人投票論と同じ

ケインズが言っているとおりだ。美人投票で、投票者は自分が美人だと思う人に投票するのではない。他の多くの人が美人だと思う人に投票するのである。

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