1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

"灘&開帝"新旧「超進学校の男子校生の実態」対談 灘・暁星・筑駒…有名校の取材でわかった実態

東洋経済オンライン / 2024年3月4日 11時0分

主人公・正直くんの友達のシグマくんみたいなひねくれているタイプが多くて、どう相手をいじるか、どうディスるかという文化があるんですね。男子校の中だと、それが仲がいい証拠になるのですが、共学では見られない文化だと知るのに時間がかかりました。

凹沢:実際、男子校を取材していると、どんな趣味でも許容される空気があると感じます。共学で女性の目があるとできないような趣味に打ち込んでいる姿はすごく生き生きしているんですよね。だから、男子校はいい環境だなぁ、なくなってほしくないなぁと思っています。

田内:逆に、女性と関わる機会は本当にないんですよね。今でこそ灘の文化祭には人がたくさん集まっているようですが、僕がいた当時は全然異性からの人気がなくて、共学の関学(関西学院)の子がよくモテていたイメージがあります。

田内:だから、心の中では共学がうらやましいなと思っていました。今は結婚することができましたが、大学に入りたてくらいまでは、自分は女性と付き合えるのか、結婚できるのかどうかを不安に思っていましたね。

凹沢:田内さんもこじらせ男子だった時期があるのですね(笑)。

「フリ」と「オチ」、セリフ量のバランスを考えた構成

田内:もう1つ、凹沢さんの作品を読んで、本当に素晴らしいと思うことがありまして……。とにかく読みやすいんですよ。なんでだろうと読み返して驚いたんですが、どのページも最後のコマに、ページをめくりたくなる「引き」を作っているんです。

たとえば1話目を見てみると、1ページ目では、どんな超進学校なのか興味を持たせ、2ページ目の終わりでは、「他人の青春のダシに使われてる」という馴染みのないセリフで読者の興味を引きつける。そして3ページ目の最後に、“「反撃」するぞ!”という強いセリフを持ってきて、次のページの展開を期待させるんです。

リズムがとてもいいなと思いました。今の時代、SNSでもプレゼンでも、相手に伝える力が必要になっています。わかりやすく伝えることも大事ですが、相手に興味を持たせる表現力も大事だと思っています。その点ですごいと思いました。

凹沢:毎回「フリ」と「オチ」を考えて構成を練っているのですが、苦労している部分に気づいていただけて嬉しいです。

私は普段すごく早口なんですけど、その感じが漫画にも出ていて、読むのをやめる隙を与えないように、ボケを1〜2ページに必ず1つは入れるようにしています。ただ、1ページあたりのセリフ量が多くなると読みづらさにもつながるので、コマ割りの順番や、起承転結はしっかり意識しています。

田内:僕も「引き」を作ることをずっと意識していたんですが、これが本当に大変で……。

この小説を書くときに、カリスマ編集者の佐渡島庸平さんからもらったアドバイスは、「立ち読みを終わらせないこと」。プロローグで常に続きが気になる展開を作って、立ち読みを終わらせずに本編に入るまで読んでもらわないといけません。

そのために、文章を何度も何度も練り直しました。自分が苦労したことだから、凹沢さんの漫画のすごさがよくわかります。

凹沢:いつもできていて当たり前のことだと気を引き締めて描いているので、そこまで言っていただけてとても嬉しいです。

(構成:濱井正吾、後編に続く)

田内 学:元ゴールドマン・サックス トレーダー

凹沢 みなみ:漫画家

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください