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「ひとり言」をつぶやく人ほど自己肯定感が高い訳 驚きの「脳と言葉の活性効果」を専門医が解説

東洋経済オンライン / 2024年3月5日 13時30分

どうでしょうか? 「ひとり言」はたんなるうわごとではないことがわかっていただけると思います。それは脳の思考の働きそのものであり、創造的で生産的な脳の働きが、言葉になって飛び出してきたものなのです。

ですから、ひとり言には「意味」と「価値」があるのです。ひとり言に注意を向けることで、自分自身の思考の動きを知るヒントになるのです。

■ひとり言で気持ちを上げる

また、ひとり言には自分の気持ちを鼓舞して、やる気を出させる力があります。「頑張るぞー!」、「絶対できる!」。言葉にして出すことで、一種の自己暗示にかけるわけです。

そういえば、私の父親は生前、仕事に出かける前に「よし、今日もやるぞ!」とつぶやいていました。朝早いので誰も聞いていないし、誰も返事もしないのですが、毎朝のように繰り返していました。

今から思えば、それが父親の朝の儀式であり、脳と身体が動き出しやすくなるフレーズだったのでしょう。そういう自分の気持ちが上がる言葉を探してみるのもいいかもしれません。

ある女性は毎朝出かける前に鏡を見て、「なんてきれいなんでしょう!」と自画自賛のひとり言をつぶやいて、上機嫌で仕事に出かけるそうです。
傍から見ていると、なんだか可笑しくなりますが、ある意味、最高のひとり言だと思いませんか? 

誰も傷つけず、迷惑をかけず、自分の気持ちを一番高揚させる言葉の典型です。

自己肯定感を保つことができる

ちなみに私の場合は、何か研究で重要な事実をつかんだと思われるとき、「これは、大発見だ!」と自分を鼓舞する言葉を意識して口にします。すると脳が一気に活性化して、研究に対するモチベーションが高まるのです。

若い頃、アメリカで研究をしているときも、それこそ世界中から自他ともに秀才と認める研究者が次々現れました。私は自信を失いつつも、なぜかひとり言で「(こんな状況だけれど)もしかして、俺の方ができるんじゃない?」とつぶやくことがありました。

今にしてみると、とくに根拠はなかったのですが、口走ることで不思議と自信と自己肯定感が保たれたと思います。そして実際に、脳活動の計測理論とその方程式を確立することができました。

意識的に自分を鼓舞し、気分を高揚させる言葉を使うことによって、自己肯定感を高め、前向きな生き方ができるようになるのです。

■目的意識が強くなる

言葉には、不思議な力があります。古来から、人はこの力を「言霊」と表現しました。言霊には人を動かす霊的な力が宿っています。脳科学者という立場ながら、私自身もそのような言葉の力を認めています。

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