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人口激減の韓国が日本のライバルであり続ける訳 「地球から消滅する最初の国」との予測もあるが…

東洋経済オンライン / 2024年3月5日 11時0分

こうした状況を受けて、いま韓国の内外では「韓国は終わった」「絶望しかない悲惨な国」という悲観論が増えています。とくにグローバル市場で韓国企業と戦ってきた日本企業の関係者の間では、「韓国はもはやわが国のライバルではない」という強気の声が聞かれます。

しかし、筆者は以下の3つの理由から、「韓国が衰退するのはかなり先で、韓国企業は向こう30年間は日本企業の強力なライバルであり続ける」と考えます。

第1に、韓国で人口減少による労働力不足の影響が本格的に表れるのは、2050年以降だと推測されます。

韓国では1960年代後半からベビーブームが起こり、1970~1971年の出生数は、年100万人を超えていました。合計特殊出生率は1971年に4.54と高水準で、人口置換水準(2.06程度)を下回ったのは1983年以降です。少子化は、ごく最近の現象なのです。

1980年代前半に生まれた世代は現在40歳前後。その世代があと25~30年働くとすれば、2050年くらいまでは、労働力不足がさほど深刻化しないという推測が成り立ちます。

もちろん、これは国全体の話で、業種や地域によっては労働力不足が起こります。しかし、第2に、人口減少の影響を受けるのはサービス業・小売業といった労働集約型の業種であることには注意が必要です。

韓国は、日本よりもさらに顕著な二重構造です。グローバルに事業展開する、生産性が高い製造業中心の大企業と国内で事業展開する、生産性が低い小売業・サービス業中心の中小・零細企業が併存しています。

小売業・サービス業は労働集約的で、若い労働力に依存しています。そのため、人口減少によって壊滅的な影響を受けることが確実です。一方、製造業は当面は人口減少の影響をさほど受けないと考えられます。

日本企業とグローバル市場で熾烈な競争を繰り広げているのは、製造業です。韓国経済はサービス業・小売業の衰退によって大打撃を受けますが、製造業における日本企業との競争は、さほど変わらないと考えられます。

科学技術で韓国は日本を逆転

第3に、1点目・2点目よりもさらに重要なのは、韓国では少子化に対応して知識集約化を強力に推進しており、成果が実現しつつあることです。

韓国は、1997年のアジア経済危機でIMFの管理下に置かれるという屈辱を味わいました。これをきっかけに、科学技術立国を目指して国家を挙げて大胆な改革を進めています。

韓国の研究開発費はこの10年で倍増し、2021年には約102兆ウォン(約12兆円)に達しています。これは、金額でアメリカ・中国・日本・ドイツに続く世界5位、国内総生産(GDP)比は4.93%で、イスラエルに次いで世界2位です。

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