人口激減の韓国が日本のライバルであり続ける訳 「地球から消滅する最初の国」との予測もあるが…
東洋経済オンライン / 2024年3月5日 11時0分
「無駄に金を使っているだけだろ」という懐疑的な見方があるかもしれませんが、文科省の科学技術・学術政策研究所によると、他の論文に引用されることが多い「注目度の高い論文数」で韓国は2023年に世界11位。12位の日本をすでに上回っています。
科学技術の進歩が国家・企業の競争力に反映されるのには、20~30年のタイムラグがあります。この30年間「リストラ」と称して研究開発の手を抜いた日本と生まれ変わる覚悟で研究開発に注力した韓国。その違いが表れるのは、むしろこれからだと考えるべきです。
韓国には自然科学分野でノーベル賞受賞者がまだいないことから、韓国のことを「科学が未発達な後進国」などと見下している日本人もいます。しかし、数十年前の業績を評価するノーベル賞だけを見ていると、実態を見誤ります。
以上3点から、「韓国は終わった」というのはまったく間違っており、向こう数十年にわたって韓国は、日本にとってより強力なライバルであり続けると考えられるのです。
もちろん、人口が激減したら国家機能を維持できなくなるので、2050年から先は韓国の脅威はかなり減殺されるでしょう。したがって、「遠い将来、韓国は終わる可能性が高い」というのが、正確な表現です。
日本も韓国ほどではありませんが、人口減少が再び加速しています。厚生労働省は2月27日、2023年の出生数(速報値)が前年比5.1%減の75万8631人だったと発表しました。8年連続で減少し、過去最少でした。国立社会保障・人口問題研究所によると、2050年に総人口は1億0400万人余りになります。
韓国に学ぶべき点
すでに労働力不足で事業運営に支障が出るケースが増えており、多くの企業で対策が急務になっていると言っても過言ではありません。
①自動化・省人化によってできるだけ人を使わない事業構造に転換する、②高齢者・外国人などの雇用を増やす、③研究開発や人材への投資で付加価値を高める、といった対策に取り組む必要があります。
このうち③については、近年世界で最も大きな改革の成果を上げた韓国から学ぶべき点が多いように思います。韓国の遠い将来を見てホッと胸をなで下ろすのか、わが国の現状を直視し、韓国の取り組みから学んで対策を進めるのか。経営者の姿勢が問われています。
日沖 健:経営コンサルタント
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