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認知症の人の理解が一気に進む「5つの会話術」 会話がスムーズになるちょっとした「コツ」

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 18時30分

相手からの会話がひととおり出切ったところで、④内容をまとめ、要約して、ゆっくり打ち返します。

「○○さん、寒いのでカーディガンを着ましょうね」。こんな具合です。

私(I)の感謝を伝えるか? あなた(YOU)を褒めるか?

そして、最も重要なポイントが⑤の褒めること。

私は、認知症の人とのコミュニケーションは、「褒(ほ)ミュニケーション」と呼んでもいいと思っています。お互いがポジティブになれ、晴れ間をつくり出す重要な要素だからです。

褒めるメッセージには、大きく2つの出し方があります。

私(I)が感謝する…… 「ありがとうございます」「助かりました」「私、びっくりしました」「感心しました」「楽しかったです」「勉強になりました」など、「私」が主語になって、感謝や称賛のメッセージを伝える。

相手(YOU)を褒める…… 「すごいですね」「さすがですね」「えらいですね」「立派ですね」「一番ですね」……など、「相手」の能力や行動を褒める。

これらは「Ⅰメッセージ」と「YOUメッセージ」と呼ばれているものですが、相手がどちらを好むかによってメッセージの出し方を決めることが重要です。

これはなにも、認知症に限った話ではありません。

恋愛だって、「かわいいね」と言われたときと、「君といると幸せだ」と言われたときと、どっちがうれしいかは、結局その人次第ですよね。

「この人はどっちのメッセージがハマるんだろう」と普段の会話からつかんでおけば、たくさん〝あなた〞を褒めてあげるべきなのか、〝私〞の気持ちをどんどん伝えたほうがいいのか、というふうに分かれていくわけです。

私はいつも、どんな言葉で褒められたときに、最も笑顔が大きくなるのか、声やリアクションが大きくなるかを観察し、心に響く褒め方をメモしています。

聞こえているけど「頭に届かない」状態とは?

「脳いきいき教室」という、脳の健康を保つ市町村事業での話です。
 2人1組で頭の体操を進めていくのですが、80代の大森さんは、先に進むことができません。

「どこかわからないところがありましたか?」と聞くと、「わからないのではないけれど、もう一度教えてもらってもいいかしら」と言います。

「もちろんです」と答え、最初から説明しましたが、それでもぽかんとした様子です。

そして私に、困ったようにこう言いました。
 
「あなたの言葉は聞こえているけれど、まだ頭に届いていないのよ」

話を理解できないとき、大抵の方は「聞こえないの」「よく聞き取れないわ」という言い方をします。大森さんのように、「頭に届かない」と正確な表現で伝えてくださる方は滅多にいません。その言葉は、認知症の人と会話をするうえで、私に大きなヒントを与えてくれました。

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