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名門男子校生が「お金を稼げる仕事」を目指すワナ もっと「就職だけではない」ことを知ってほしい

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 12時30分

そして、「実はこれは今の年金問題も一緒で……」という感じで本題に入ると、話を聞いてくれるようになるんです。

凹沢:なるほど……斜に構えている傾向のある男子校の生徒だと、最初にすごい人だと思ってもらう必要があるので、とても効果的ですね。

「投資される側」である漫画家の役割

凹沢:私自身、名門校の取材をしていると、多くの人は将来、大企業や政府の要職といった、お金を稼げるような仕事に就きたいと思っているのを感じます。

田内:悪くいうと、大きな組織に所属して、安泰なイスに座りたいというか。これは、僕自身の反省でもありますね。アメリカとはそこが大きく違う点ですよね。

スタンフォード大学とかだと優秀な学生は大企業に入って与えられた仕事をするのではなくて、起業することを考えるようです。「現状の検索エンジンでは不便だから自分たちで作ろう、でも自分たちだけだとお金が足りないから投資してもらおう」という発想なんです。

日本では投資してお金を増やそうとする人は多いですが、「投資する側」だけでなく、「投資される側」の人たちが現れないと、新たなものは生み出されないんですよね。

凹沢:すごいですね。本当に人のためになることを考えていないと、その考え方はなかなか出てこないと思います。私も最近、積み立てNISAについて勉強しようとしていましたが、自分が投資される側の人間になるとは考えたことがなかったです。

田内:起業は「投資される側」の一例で、他にもあるんです。凹沢さんはもうすでに「漫画」で投資される側に回っていると思いますよ。出版社はいくら予算があったところで、漫画家さんがいないことには漫画は作れませんからね。

凹沢さんみたいに、自分の貴重な若い時間を費やして、いい作品を作ろうと頑張っている人に、出版社が投資しているんです。

凹沢:私も投資されていたんですね……!

凹沢氏の担当編集者:いくら凹沢さんに才能があっても、最初から大ヒット作を描けるわけではありません。だから、その過程で原稿料として投資をしているんです。お金を増やすための投資ではなくて、人をサポートするための投資をさせていただいているんです。

凹沢:今までずっと、「もっと面白い話を描きたい、その過程でより高みに行きたい」という感じで自分のことしか考えていなかったのですが、改めて、連載までの下積み期間も含めて、ずっと投資してもらっていたんだなと実感できました。

田内:「面白い」というのは他者の視点でもありますしね。作品を通して、直に読者を楽しませられていることを自身で直接感じられるので、漫画家さんはとても素晴らしい仕事だと思います。

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