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被災地の便乗ごみや避難ごみ、清掃職員のリアル 浮かび上がる「清掃サービス」提供の課題

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 11時0分

金沢市は担当業務のやりくりで人員をひねりだし、その管理・運営にあてた。

当然のことながら、仮置場は災害廃棄物を持ち込む場所なのだが、ほとんどの災害廃棄物を無料で引き取っていたため、「いつか使うかもしれない」と物置等にしまい込んでいた退蔵品を、ここぞとばかりに搬入する「便乗ごみ」問題が生じた。

災害とは関係のない「便乗ごみ」も

このような「便乗ごみ」が搬入されるのもわからなくはない。

金沢市では、家具・寝具類、趣味・スポーツ・レジャー用品等は「有料粗大ごみ」に該当する。これらを排出するには、電話またはLINEで事前に申し込みを行い、指定された金額の処理券をコンビニエンスストア等で購入。予約内容通りに処理券を貼って排出しなければならず、手間がかかる。

そのため仮置場が設置されると「退蔵品」排出の格好の機会となってしまうのだ。

また、仮置場には、事業者責任で処理すべき産業廃棄物も持ち込まれることがある。自らで処理すると費用がかかるため、災害廃棄物だと偽って仮置場に持ち込むのである。

今回の仮置場では陶器、ガラス、石、瓦、コンクリート製品、木製品(タンス、椅子、生木)、金属・小型家電類、家電4品目(テレビ・洗濯機・エアコン・冷蔵庫)を中心に受け入れたが、筆者が話を聞いた清掃職員の方によると、ほとんどが災害とは関係のない「便乗ごみ」だったという。

初期の主な排出者は事業者で、石材屋が灯籠等をトラックいっぱいに積んで持ってきたり、電器屋が蛍光灯の束を持ち込んで置いて帰ったりした。

この蛍光灯は割れていなかったため災害廃棄物なのか疑わしい。蛍光灯は資源としてリサイクルルートに乗せる必要があるため、清掃職員らは仮置場での引き取りに難色を示した。

しかし電器屋は「電話した際には何でも持ってきてよいと言われた」の一点張りで、仮置場に置いていってしまった。結果、後日、清掃職員がその蛍光灯をリサイクル業者に持っていく手間が生じてしまった。

一方、倒れた食器棚を搬入したのを契機に「何でも受け入れてもらえる」と勘違いし、これまでしまい込んできた多くの退蔵品を繰り返し持ち込む者もいた。

「被災した」と主張する住民が布団、毛布、タンスなどを、ここぞとばかりに排出したり、スノーボードやスキー板まで搬入したりする者もいた。

清掃職員は被災したことをおもんぱかり、可能な限り被災者に寄り添う対応をしようと心掛けている。それなのに一部の住民の中には、その気持ちにかこつけて、エゴを通そうとする者もいる。

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