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被災地の便乗ごみや避難ごみ、清掃職員のリアル 浮かび上がる「清掃サービス」提供の課題

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 11時0分

非常時の振る舞いは、人間のきたなさ、いやらしさ、みにくさを浮かび上がらせる。

「避難所」のごみ収集は…?

一方、地震発生後、初期の奥能登地域の被災地支援として、金沢市は輪島市の避難所のごみ収集に清掃車2台(清掃職員4人)と、穴水町の仮置場の運営に4人を派遣した。

ほかの自治体に収集を依頼するにあたっては、収集箇所を示した地図の提供が必要不可欠だが、金沢市の環境局へは避難所一覧の情報が提供されたのみだった。

そのため、支援に赴く清掃職員が現地の地理に不慣れながらも通行可能な道路を調査し、2日がかりで地図の作成と収集ルートを考案し輪島市へと向かった。

被災地に存在する物資を支援者が使わないように、金沢市内でガソリンを満タンにしていくなど、収集に関わる物資はすべて調達してから現地へ。

ほとんどは簡易トイレの「汚物」

金沢市を朝5時に出発し、震災の爪痕が残る道を通りながらスマートフォンのナビを利用して約3時間かけて輪島市に到着した。

到着後は市内の避難所を回り、「避難ごみ」を収集していく。

清掃車のタンクがいっぱいになると付近の清掃工場に積み下ろし、再度避難所に向かいたいところだが、被災した清掃工場は稼働していない。そのため収集したごみは持ち帰り、金沢市内の清掃工場に搬入せざるを得なかった。

移動に多くの時間が取られるため現地作業が1時間半程度に限られるうえ、1日に清掃車のタンク1杯分しか収集できない状態だったのだ。

一度に少しでも多くのごみを収集するために、当初は輪島市へは6㎥の清掃車(最大積載量2.4t)と4㎥の清掃車(最大積載量2t)で向かった。しかし、6㎥車では入れない幅の道や4輪駆動でなければ通行できない道があって通行できず、持ち込んだ清掃車を稼働させられなかった。

翌日からは4㎥車2台体制に切り替えて収集作業を行った。これにより1日あたの収集量はいっそう減少し、収集に向かう避難所の数も限定的となった。

さらに、避難所から排出される「避難ごみ」のほとんどは、避難所で暮らす方々の簡易トイレ後の汚物(し尿)だった。

凝固剤のためか臭いはそれほどしなかったが、汚物を清掃車に入れて積み込んでタンクが詰まってくると、プレスした際に跳ね返りが飛び散る。

そのため適当なところで積み込みを止めなければ、清掃職員が汚物をかぶってしまう。この制約からも1台あたりのごみの収集量はさらに限定的となった。

ちなみに、話を聞いた清掃職員とともに作業した人は、汚物が飛び散って作業着についてしまった。その場で作業着を処分したそうだが、水が出ない状況で万が一顔面などに付着していたらと思うと、ぞっとする。

受援に欠かせない「正確な」現場情報

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