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インバウンド向け「3000円」喜多方ラーメンの真相 「三大ご当地ラーメン」なのに実は衰退の危機?

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 12時0分

しかし、喜多方で取材が終わって夕方4時頃街を歩いてみると、ほとんどのラーメン店は既にシャッターを下ろしていて、街には人がまばらだった。パンフレットを見ながらラーメンを食べ歩いている観光客が、閉店してしまった店の前で困っている姿が印象的だった。パンフレットに載っている時間どおりに営業していないのである。

その夜、地酒の飲めるお店で宴会をし、ホテルまで帰ろうとタクシーを呼ぼうとすると、夜はタクシーが走っていないという。仕方なく雨の中、濡れながらホテルまで歩いて帰ったのである。

ホテルに戻ると「夕方以降はタクシーの配車予約が受けられないのでご注意ください」という貼り紙が貼ってあった。これが今の喜多方の状況なのである。

復活を目指し、江花さんが目指すものとは?

そんな中始まった今回の企画。江花さんが目指すものは何か。

「注目されれば人は集まるだろうという考えは甘く、今までと同じことをしていてはダメです。この取り組みを始めるにあたって我々が大事にしようと思ったのは地域密着であること、歴史にしっかりと繋がるストーリー性があることです」(江花さん)

そのために大事なのは、全く見たことのない新しいラーメンを作るのではなく、「喜多方ラーメン」の枠の中で表現することだ。

そこで、本来の豚ベースの喜多方ラーメンのスープに、地元産のふくしま会津牛を使ったラーメンを作ることにした。これを会津塗の漆器で提供し、特製の箸は持って帰れるようにした。

会津に住んでいる中国人や台湾人に試食してもらい、海外向けの味に寄せすぎず、日本の文化を伝えられる一杯を作り上げた。

喜多方ラーメンの豚のスープをベースに、「夏黄金」「ゆきちから」で作った特製麺、会津牛チャーシュー、会津牛ワンタン、ナルト、ノリを合わせる。別添えで会津牛そぼろ、地元産の春菊のおひたし、白髪ネギが提供される。

まろやかな醤油と豚の旨味溢れるスープに、極太縮れで短めな麺は小麦のいい香り。ここに会津牛がとにかく合う。少しずつ牛の脂が溶け出して甘みを増す。極上の名に恥じぬ一杯だ。

こんなに豪勢に仕上げても喜多方ラーメンらしさを感じるところが凄い。やっぱり改めて喜多方ラーメンの奥深さを知ることができる。

地産地消の一杯までは遠い道のりだが…

この事業はまずは1年間の期限付きだ。

初年度は次に向けていろいろ試しながら正解を模索していく。ラーメン店だけでなく、製麺所、醤油店、農家、漆塗りのお店など皆がこの一杯に入れ込んで、今後に繋げようと協力している。

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