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インバウンド向け「3000円」喜多方ラーメンの真相 「三大ご当地ラーメン」なのに実は衰退の危機?

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 12時0分

江花さんが目指す地元密着とはそれだけではない。地元の食材を使った“地産地消”の一杯を作ることを目標にしている。

喜多方のラーメン店で地元の食材を使う店は少なく、外国産の食材を使用している店が多いのが現状だ。円安で価格にあまり差がなくなってきたとはいえ、国産に比べ外国産のものを使ったほうがコストが抑えられるからだ。

「農家さんまで含めた三方良しを実現させたいです。喜多方には既に生産者が本当に少なくなってきています。発注が安定しないから続かないのです。

一店一店で発注するのではなく、老麺会としてまとめて発注すれば数も安定します。この1年限定ではなく、持続可能な形で生産者さんと取り組みを続けていければと考えています」(江花さん)

地元のものを地元の一杯で感じてもらう。まずはそこからだ。

地元の食材がこんなにも良いということをこのラーメンで知ってもらうきっかけを作りたいと江花さんは話す。

市の全面的なバックアップで、これから市内ではさらに良い小麦を作ることと畜産にも力を入れていくことになった。地元産の食材100%になればこれは史上初になる。

生産者からも「うちでも作りたい」という問い合わせが増えてきて、以前以上に意見交換の場が増えてきた。早くもバージョン2が楽しみだと江花さんは話す。

ご当地ラーメンの横綱的な存在である喜多方が動き出したことで、県内じゅうが注目をしている。

毎日のように「嫌がらせ電話」も…

もちろん批判も多い。毎日のように嫌がらせの電話も入っている。しかしそれも織り込み済みだ。

「インバウンド向けとしてメディアで紹介されてしまいましたが、全くそれだけだとは考えていません。喜多方ラーメンの進化版として、地元の方にも食べていただきたいと思っています。

外国人観光客が喜多方に来ること自体が珍しいことですので、この取り組みで少しでも増えてもらえればと。3000円と高額な喜多方ラーメンですが、これは生産者と伝統のラーメンを守っていく先行投資だと考えています」(江花さん)

喜多方行きツアーにも意欲

喜多方は旅行で行くには圧倒的に交通の便が悪い。

新幹線も飛行機も近くを通っておらず、東京から行くにも新幹線で郡山に行ってからさらに在来線で1時間半以上、乗り継ぎ次第では2~3時間ほどかかってしまう。本数も少ないので行くにはハードルが高いのだ。

旅行会社の意見を聞きながらバスツアーを組んでもらったり、福島空港からの台湾人のツアーがようやく始まるタイミングで喜多方行きのツアーを作ってもらえるように働きかけたりと動きがスタートしている。

「喜多方ラーメンの伝統として守るべきものはありますが、それプラスアルファでどんな活動をしてその歴史を繋いでいくかを考えていかなければいけないタイミングに来ていると思います。

当時のラーメンブームを知らない若い世代が、一致団結して喜多方をもう一度活気ある街にしていきたいと考えています」(江花さん)

井手隊長:ラーメンライター/ミュージシャン

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