ドコモが海外の携帯通信見本市で放った存在感 日本の通信事業者が「海外に販売」する時代が来た
東洋経済オンライン / 2024年3月6日 7時50分
従来こうした、基地局、RAN、コアは、通信機器ベンダーが提供する専用機を使うのが一般的だった。エリクソン、ノキア、NEC、富士通、そして中国のファーウェイというのがそうした通信機器ベンダーの代表だ。3G時代には日欧のベンダーが強く、その後4G時代には中国のファーウェイが伸びたというのが通信業界の歴史だった。特にファーウェイは、基地局からRAN、コアまで非常に低コストで提供していったため、瞬く間にシェアを伸ばしていったというのが2010年代の歴史だ。
この時代に通信事業者がもっていた不満は「ベンダーロックイン」されているという点にあった。安定した通信環境を実現するためには、一度導入した通信機器は継続的に使わざるをえず、通信機器ベンダーの言い値の費用を払わされていた。
そんなときに日欧の通信機器ベンダーよりも安価なコストをひっさげて登場したのがファーウェイなどの中国勢だ。ファーウェイなどの中国勢は日欧の通信機器ベンダーとさほど変わらないクオリティーでありながら価格は安価で、日米欧の多くの通信キャリアで採用が進んでいった。
しかし、アメリカの中国デカップリング政策により、日米欧の通信事業者はファーウェイを選択できなくなり、再び日欧の通信機器ベンダーへの回帰が発生した。それが2010年代後半~2020年代前半に起こったことだ。
しかし、そうした携帯電話回線の通信機器市場には再び地殻変動が起きようとしている。その最大の要因は、5Gの普及につれて、従来の専用通信機器から、SDN(Software Defined Network)と呼ばれるソフトウエアと汎用サーバーを組み合わせた通信機器への置き換えが発生しようとしているからだ。
それが最も進んでいるは、5Gのコアで、ほとんどの通信事業者の5Gコアは、一般的なデータセンターそのものになっている。動いているのは、IntelやAMDのx86プロセッサーを搭載した汎用サーバー機で、その上で従来の通信機器ベンダーが提供している5Gコアを実現するソフトウエアが動作している。
「汎用サーバー+ソフトウエア」という流れ
現在専用機からSDNへの置き換えが進んでいるのが、RANだ。仮想的なRANということでvRANという呼び方、そのオープン仕様ということでOpen RAN、また業界標準団体(O-RAN ALLIANCE)により規格化されたO-RANなど、さまざまな呼び方があるが、細かな違いはあるが基本的にはいずれも汎用サーバー+ソフトウエアで実現されているという意味では同じものだと考えてよい(以下、それらを総称してvRANと呼ぶことにする)。
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