ドコモが海外の携帯通信見本市で放った存在感 日本の通信事業者が「海外に販売」する時代が来た
東洋経済オンライン / 2024年3月6日 7時50分
通信事業者にとってこうしたvRANを導入するメリットはいくつかあるが、大きなものはコスト削減と5Gネットワークの性能や機能強化があげられる。
vRANのハードウエアは、Dell Technologies、Hewlett Packard Enterprise(HPE)、Lenovo、Supermicroといった、データセンターにサーバー機器を提供している機器ベンダーの汎用品を利用する。ネットワークの処理を専門に行うアクセラレータカードを追加はするが、基本的には特別なハードウエアではなく、既製品をそのまま流用するため、専用品だった従来の通信機器に比べるとハードウエアのコストは圧倒的に安い。もちろん、その上で走らせるソフトウエアは、通信事業者向けにカスタマイズされたものだが、そのコストを付加しても圧倒的に安いというのが業界関係者の証言だ。
かつ、こうしたSDN化したvRANやコアを導入すると、5Gの仕様で規定されている全機能を実装するのが比較的容易にできる。例えば、超低遅延といった機能がそれに該当し、顧客により充実したサービスを提供できることになり、その点でも通信事業者にとっては大きなメリットだと言える。
通信事業者が主導してSDN化を推進
新しい技術の登場に合わせて、通信機器ベンダーと通信事業者の関係にも地殻変動が起きている。かつての通信事業者にとっての不満は、通信機器ベンダーに「ベンダーロックイン」されて、言い値で通信機器を買わされることだということは前述したが、それは過去の話になりつつある。
今vRAN市場で起きているのは、ベンダーロックインされていたはずの通信事業者が複数のサプライヤーをまとめる立場に立って、その依頼に基づいて通信機器ベンダーがより下流のサプライヤーをまとめ、システムインテグレータとしてのサービスを提供するという形だ。
そうした事業モデルの代表例がNTTドコモの「OREX」だ。NTTドコモのOREXは、NTTドコモとそのNTTドコモに汎用サーバーなどの機器を納入するサプライヤーから構成される一種のコンソーシアムだ。NTTドコモはOREXに加盟するサプライヤーを「OREX PARTNERS」と呼び、一緒にvRANのパッケージ「OREX Packages」を作り、それをNTTドコモ自身の商用ネットワークや、国外の通信キャリアに販売することでvRANの実現を目指す。
昨年9月に発表した「OREX Packages」は、富士通がソフトウエアとシステムインテグレータを担当し、OSはWind River、NVIDIAがアクセラレータカード、IntelがCPUを提供するという組み合わせで構築され、既に実際にNTTドコモの商用5Gネットワークに導入されている。
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