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問題解決はテクノベート・シンキングで変わる テクノロジーで何ができるようになるのか

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 9時0分

事実、Eコマースのアマゾンや動画配信サービスのネットフリックスなどでは、ビッグデータとAIを活用して、これを実現しています。誰一人として同じレコメンデーションがなされるということはありません。これは人間には不可能であり、まさにITならではの問題解決なのです。

「ありたい姿」→「データ・アルゴリズム」→「実装」

テクノベート・シンキングでは、まずは先述したようにありたい姿を構想します。その次のステップは「データとアルゴリズムを考える」ことです。データについては、「どのようなデータが必要か(取得できそうか、取得すべきか)を考え、またデータベースの構造をイメージする」ということが求められます。

アルゴリズムは、端的に言えば、「ビジネス上のさまざまな事情を勘案し、肝となるロジックを考える」ということです。たとえば予備校でパフォーマンスの低い講師のテコ入れをするのであれば、彼/彼女の弱みはどの数値で測り(例:生徒のアンケートや模試の点数)、どの基準で弱みと判断するか(例:全講師の下位30%に入る)などを決めたり、どういう条件に合致したらどのようなテコ入れ策を講師ごとにレコメンド・実施するかを決めます。アルゴリズムは、コンピュータが間違わず正確に処理できるように具体的かつ漏れなく描く必要があります。

アルゴリズムまでを構想できたら、最後は実装です。これは、単なるシステム開発やプログラミングにとどまらず、モノや人と連携させた総合的なソリューション(仕組み)を作ることです。大がかりなシステム開発が必要な場合は、社内のエンジニアや社外のSIerとの緻密な連携が必要になります。緻密な連携を実現するためにも、前段階までのプロセスにはこだわり、齟齬が生じない状態にしておくことが必要です。

実装した後は、実際にそのソリューションを使ってみます(必要に応じて事前テストを実施することもあります)。想定した効果が出ない場合には、ありたい姿を見直したり、データ・アルゴリズムを再検討していきます。ただ、あまり見直しが多くなると費用対効果や時間対効果が悪くなるので、極力最初からしっかり考えることが必要です。

何ができるかを常にバージョンアップさせる

テクノベート・シンキングに限らず問題解決では、「ありたい姿」を適切に構想することが非常に大切です。それによってその後の問題解決プロセスが大きく変わってくるからです。

ただ、テクノベート・シンキングでは、テクノロジーの進化に伴い、実現できることのレベルがどんどん上がるがゆえに、それにキャッチアップしなくてはならないという難しさが生じます。たとえばヘルスケアサービスを考えてみましょう。15年前は、人間ドックで測定するような数値をリアルタイムで捕捉することはできませんでした。しかし今ではスマートリングなどの発達により、人体のさまざまな情報をリアルタイムで集めることも可能です。それを用いることで、たとえば「1日の体重増は最大でも200gに抑える。そのための行動をリアルタイムで伝える」ということを「ありたい姿」として設定できるかもしれないのです。

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