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「高血圧」が気になる高齢者に教えたい意外な真実 若者も高齢者も「140㎜/Hg以上」基準の疑問

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 6時40分

世の中には「正常値絶対主義」で、血圧の数値を下げることを目的化している医者がたくさんいます。しかし、私が勤務していた当時の浴風会病院のデータだと、血圧130の人と150の人では生存曲線に差がありませんでした。

本来ならば厚生労働省が、日本人の血圧の正常値がどのくらいかという全国的な大規模調査を行うべきなのです。今はアメリカが135と言えば訳もわからずそれに従っていますが、おそらく日本の高齢者からすると、それが適正値ではないはずです。

ただし、同じ浴風会病院のデータでは、血圧が180以上になると明らかに生存率が悪くなっていたので、私自身は血圧170以下をキープするようにしています。

かつて降圧剤で血圧を基準値まで下げていた時には頭がぼんやりして、仕事やプライベートを快適に過ごすことができなくなりました。それ以来、降圧剤を適度に服用して、170をキープしているのですが、まったく不具合は感じていません。

さらに言えば、高血圧を放っておいても、そのせいで血管に本格的な障害が生じて心筋梗塞や脳卒中になるのは20年後ぐらいだと考えられます。現在70歳の人が好きなように生活を続けて90歳で亡くなるのと、血圧の正常値ばかりを意識して20年以上の節制を続けて95歳まで生きるのとでは、どちらが幸せなのか。

これから先の20年のうちには医学の進歩もあるはずです。これらを考えたうえで、みなさんそれぞれが自分の受ける医療を、もっと自己決定してもいいのではないかと思います。

糖尿病の可能性がある予備軍は約1000万人

糖尿病は国の定める重要疾患の一つです。厚生労働省が発表した2019年の国民健康・栄養調査によると、糖尿病患者数は約1000万人。糖尿病が強く疑われる、もしくはその可能性を否定できない予備軍も約1000万人になります。

糖尿病のリスクは、HbA1c値(ブドウ糖と結びついたヘモグロビンの割合)によって判断され、特定保健指導ではHbA1c値5.6%を基準値として、これを超えたものを糖尿病予備軍としています。

糖尿病治療のためには、このHbA1c値を基準値未満に抑えることが大事だというのですが、アメリカ国立衛生研究所の関連組織による試験では、従来の常識とは異なる結果が出ました。

計1万人の糖尿病患者を対象に、HbA1cを当時正常値とされていた6%以下に抑える強化療法群と、7.0~7.9%とする標準療法群の2つに分けて調査したところ、3年半後の死亡率は強化療法群のほうが高かったのです。

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