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入学志願者の減少が止まらない「薬学部」の実態 人気復活のカギは就職先?「起業」する薬剤師も

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 11時30分

都築氏は副学長時代から、企業や自治体、国内外の教育機関との連携協定を積極的に進めてきた。その数は全部で116(2024年2月現在)。学内に地域連携室を設置し、学生の学びの場の創出とビジネス的な価値を生み出すことにこだわっている。

例えば、東京都を中心に海外にも店舗展開している麺屋武蔵とは、「花粉症対策ラーメン」を共同開発した。日本薬科大学のさいたまキャンパスがある埼玉県伊奈町出身の矢都木二郎社長に、都築氏が「健康ラーメンを作ろう」と提案したことがきっかけだった。

学内募集に応じた学生や教員が、「薬膳」や「生薬学」の知識を生かし、鼻の通りを良くするためにハッカや菊の花を使ったラーメンを提案。1000円で販売したところ、テレビや新聞で取り上げられるなど好評で、広告効果が高かったことから、同社との取り組みは現在も続いている。

連携協定の背景には、自治体であれば地域活性化、企業であればマーケティングや人材確保、CSRといった狙いが必ずある。そういったニーズに対して、学生たちが学んだ薬や医療、健康といった知識を掛け合わせることで、付加価値を生む取り組みをする。

「これはまさにビジネスそのもので、学生をこういった活動に参加させれば、卒業後も自分たちの強みを生かした“薬学×○○”という発想が生まれやすくなる」と、都築氏は強調する。

急速に進む少子化は薬学部にとっても他人事ではない。将来的に薬剤師が供給過剰になるという指摘もある。厚生労働省によれば、薬剤師の総数は2045年に43.2万~45.8万人となり、病院や薬局で必要な人数(33.2万~40.8万人)を最大で12.6万人上回る。

文科省は新設・定員増を認めない方針

こうした状況を受け、文部科学省は2025年度以降、原則として大学の6年制薬学部の新設や定員増を認めない方針を決め、定員割れの大学に対する助成金の減額や不交付など、入学定員の適正化に向けた動きを進める。

薬学部を取り巻く環境が厳しさを増し、少子化で他学部との競争も激しくなるなか、薬学部が“選ばれる学部”になるためには、受験生や保護者はもちろん、社会全体から見ても魅力的な学部であり続ける必要がある。

そのためには従来のやり方に留まらず、薬学部生の新たな活躍の場を開拓するなど、薬学部全体が変わることが求められている。

赤羽 法悦:えむでぶ倶楽部ニュース編集部記者

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