個人情報5ドルで売買、「ダークウェブ」驚きの実態 サイバー犯罪のインフラにもなるネットワーク
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 8時0分
この攻撃ではアメリカ東海岸の石油供給に影響が出るとされ、ガソリンスタンドに行列ができるといった騒ぎに発展した。FBIはロシア政府にも働きかけ、身代金の回収と実行犯の検挙に動いた。
「REvil」というランサムウェアもRaaSを利用した攻撃で、アメリカの大手ITプロバイダーKaseyaの被害をはじめ世界中で猛威を振るった。2022年に実行犯の逮捕とREvilのランサムウェアサイトの解体が宣言された。
長年猛威を振るっていた別のRaaSプラットフォーム、LockBitも国際的な捜査連携による実行犯の逮捕やサイトの解体がニュースになった。
すでにこれらは、実行犯が逮捕され、サイトの閉鎖はされているものの、運営の主体、もしくはランサムウェア開発者は逮捕されておらず、類似または同名のランサムウェアの被害は完全にはなくなっていない。
ダークウェブの約半分は合法的な情報のやりとり
ダークウェブ上のコンテンツや情報のうち、約半分は合法的な情報のやりとりであって、犯罪やテロ、サイバー攻撃にかかわるものは半分を切っているという分析もある。
例えば、ニューヨーク・タイムズやBBCは、自社報道が検閲されたり制限されたりしないように、正規のニュースをTorネットワークからアクセスできるようにしている。
世界にはロシア、中国などインターネットは国が管理して統制すべきという立場と、EUやアメリカなどのインターネットは自由な空間であるべきという立場がある。香港の民主化運動ではTorブラウザやTelegramが活躍した。
独裁国家では自由な発言のために当局の統制下にない通信手段が必要だ。Telegramは運営者が、暗号鍵を管理しない暗号通信が可能なメッセンジャーである。
開発者はロシアのエンジニアとされていて、イラン、パキスタン、中国などは利用を禁止しており、ロシアでも利用が禁止されていた時期がある。つまり、犯罪者が利用しているからといって、一律に規制・禁止すればいいというものではないということだ。
専門家はセキュリティ対策や情報収集に活用
だが、ダークネウェブやTor、Telegramが合法だからといって、むやみにアクセスする必要はない。とくにアンダーグラウンドのECサイトや掲示板、コミュニティサイトへのアクセス、参加者へのコンタクトは、軽はずみに行っていいものではない。
すぐにウイルスに感染するとか情報が抜き取られるといったことはないが、理由や目的がなければ、わざわざ犯罪者の中に入っていくべきではない。セキュリティの専門家でも、ダークウェブへのアクセスは慎重を期す。
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