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半身マヒの91歳男性「人生で最後の帰省」のリアル 「1泊だけ」受け入れてくれる特養を探して…

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 14時5分

「夕食はホテルでコンビニ弁当だけでした(笑)」(佐々木看護師)

気になるのは、夕方過ぎに雨が降り出したことだ。明日は朝から墓参りだ。雨が長引けば、その行程に支障が出るかもしれない。不安を感じながら、佐々木看護師は早めに床についた。

そして翌日。墓参りについては前編で詳述した通りだ。なんとか墓参りを終わらせた後、奥田大介さんの案内で、奥田家代々の家に向かった。

「源三おじちゃんが東京から来てるので、ぜひ会いたい」

と、親戚が集まっていた。

「奥田さんとしては、もしかしたらこれが最後の帰省になるかもしれない、という思いがあったのかもしれません。久しぶりに会った親戚たちと、始終笑顔で話しておられました」(佐々木看護師)

帰りの車の中で2時間かけて膀胱洗浄

親戚たちに別れを告げ、東京へ向かって車に乗り込んだ。

「最後に尿道カテーテルの洗浄という大きな仕事が残っています。特養の看護師から申し送りがあったように、奥田さんの場合、カテーテルの洗浄は2日に1回です。

持続還流といって、カテーテルに生理食塩水を流し込みます。これが尿道から膀胱を巡って、尿とおなじように排出され、尿バッグに還流します」(佐々木看護師)

尿道カテーテルを使用している場合、定期的に膀胱洗浄を行うことで、沈殿物や結石などによる尿路の閉塞を防止することができる。指示された生理食塩水の量は500CCだ。点滴により2時間かけて、注入する。

「流し込んだ量と、排出された量が同じになるか、観察しながら進めます。これを帰りの車の中で行いました。幸い、問題なく、持続還流の洗浄を行うことができました」(佐々木看護師)

事前の準備と、その場の機転、そして何より、参加した全員のチームワークによって91歳の奥田さんの旅は完了した。

現在も、奥田さんは中野区の特養で元気に暮らしている。上山さんが面会すると、今も楽しそうに墓参りツアーの思い出を話すのだという。

「旅をしたい」思いにツアーナースは応えてくれる

年だから。病気があるから。もう遠出はできない。そう思い込む必要はない。ツアーナースはいつも全力で、「旅をしたい」という思いに応えてくれる。

上山さんは旅を振り返って次のように話してくれた。

「今回の旅はご実家のお墓参りが目的でした。奥田さんは北海道にも親戚があり、そこにも親しい人たちが眠っています。岐阜のお墓参りツアーの後、“次は北海道ツアーに行こう”と言ってくれたことがとても嬉しかった。私としても大冒険の旅でしたが、やってよかったと心から思っています」

末並 俊司:ライター

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