テレビ局の株価が今になって「爆上がり」した必然 日テレの"発表"が引き金、キー局は軒並み高騰
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 7時0分
日テレの自己株買いは2009年以来で、実に15年ぶりのこと。発表翌日、2月2日の同社の株価がストップ高となったのも理解できる。
他のテレビ局でも「連想買い」
しかしどういうわけか、2月2日には日テレだけでなく、すべてのキー局の株価が大幅に上昇する事態となった。
各局のIR担当者は「日テレ株価上昇の連想買いだろう」と口を揃える。同様の規定を定める日テレ以外のテレビ局も方針転換を行うのでは、との思惑が広まったとみられる。
もっとも、フジ・メディア・ホールディングス(以下、フジ)は株券電子化が行われた2009年から、株主名簿への記載を拒否した外国人株主に対しても配当を支払ってきた。同社の外国人株主による直接保有比率は2024年3月1日時点で34.25%と、以前から20%を大きく超えて推移している。
そのフジ・メディアも、足元の株価は年初から1割程度上昇している。定款変更そのものというより、テレビ局の間で資本効率の改善や株主還元強化の動きが加速することに対する期待感が、株価上昇を後押ししているようだ。
日テレの方針転換に、投資家がここまで反応するのにはわけがある。
ちょうど1年前、東京証券取引所は株価を1株当たり純資産で割った値であるPBR(株価純資産倍率)が1倍割れの企業を問題視し、改善策を開示・実行するように要請した。
しかし現状、キー局は軒並みPBR1倍割れの状況を脱せずにいる。日テレは昨年5月に資本効率改善のための計画を開示しており、今回の発表も東証の要請を踏まえた措置とみる向きは多い。
テレビ局のPBRが低い要因は複数あるが、その1つが政策保有株(純粋な投資ではなく、取引先との関係維持などを目的に保有する株式)の多さだ。これらによって純資産が膨らみ、PBRの下押し圧力となっていた。
過去にも各局は、物言う株主からたびたび政策保有株の放出と株主還元の強化を求められてきた。
例えば、半導体製造装置大手の東京エレクトロンの株式だけで2600億円近く(2023年3月末時点)を保有するTBSホールディングス(以下、TBS)。イギリスの投資ファンド、アセット・バリュー・インベスターズは2018年、同社に対し次のように激しく迫っている。
「会社の資産価値の半分を国内有価証券という小さな器に集約していることにかかるリスクについて、十分な説明も正当性の提示もできていません。(中略)東京エレクトロンの株式保有の合理性を説明することはできません」
政策保有株の放出は進むものの…
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