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テレビ局の株価が今になって「爆上がり」した必然 日テレの"発表"が引き金、キー局は軒並み高騰

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 7時0分

こうした圧力を受けてか、ここ数年はTBSをはじめ各局とも、政策保有株の売却を進めてきた。ただ、ここで新たな課題として浮上しているのが、売却資金の使い道だ。

最もわかりやすいのは、物言う株主が求めるような株主還元の強化だろう。今回の日テレに限らず、TBSやフジは政策保有株の売却資金を元手に積極的な自己株取得を進めており、これらは直接的に株価の上昇にも貢献してきた。

一方で、そう簡単に自己株取得に踏み切れない局もある。

朝日新聞や東映を大株主とするテレビ朝日ホールディングス(以下、テレ朝)は、流通株式比率が比較的低く、自己株取得を行うとプライム市場の上場維持基準である35%を割ってしまうリスクがある。

また放送法では放送の多元性などの確保を目的に、テレビ局を傘下に持つ認定放送持株会社に対する議決権保有の上限を3分の1までと定めている。その点、テレビ東京ホールディングスは、筆頭株主である日本経済新聞がすでに3分の1近い株式を保有しており、自己株買いによってそれが3分の1を超過するリスクを抱える。

そもそもこうした株主還元策の強化は株価上昇には貢献するものの、長期的な企業価値の向上につながるとは言いがたい。

2月末に電通が発表した「2023年 日本の広告費」によると、2023年の日本の総広告費は過去最高を記録した一方、地上波テレビの広告費は前年比4%減の1兆6095億円となった。

昨秋以降、2024年3月期の通期業績計画を下方修正するテレビ局が相次ぎ、会社側の想定以上にテレビ広告費の縮小が「加速」している現実がある。各局は、政策保有株の売却などで捻出した資金を元手に、いかに成長ビジョンを描くかが問われている。

テレビ以外での収益基盤確保を急ぐ

政策保有株などの保有資産の規模によって細かな戦略に違いはみられるものの、テレビ以外で稼ぐという大きな方向性は各局共通だ。

TBSは昨年6月、学習塾運営のやる気スイッチグループを300億円で買収し、放送外領域の強化を明確にしている。スタジオジブリを昨年買収した日テレも、2014年に買収したフィットネスジム運営のティップネスをはじめ、複数の放送外事業を抱えている。

一方、フジは不動産事業を強化し、テレ朝は有明の複合型エンタテインメント施設「東京ドリームパーク」の開発を進める。

東証のPBR改善要請、そして日テレの定款変更を機に、投資家からも熱い視線を受けるようになったテレビ局は投資家の期待に応えられるのか。新たな収益基盤確保のために残された時間は、それほど長くはない。

髙岡 健太:東洋経済 記者

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