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スシロー、なか卯、ファミマ相手の「非正規春闘」 昨年はABCマートに「1人ストで5000人の賃上げ」

東洋経済オンライン / 2024年3月7日 8時0分

──昨年の結果は。

36社と交渉し、16社で賃上げを勝ち取りました。大手だと靴小売りのエービーシー・マートで5000人の基本時給が平均6%アップ。要求した組合員は当初は1人で、ストライキもしました。

──賃上げに至った決め手は何でしたか。

「ゼロ回答では会社としてまずい」と思わせるような社会的環境をつくる必要があると考えました。賃上げを要求する企業名を公表するとSNSやメディアで広まり、企業へのプレッシャーとなりました。サービス業だと客の評判を気にしますし、働く人も集まりません。

業績のいい会社には賃上げ原資があるはずだと問います。従業員がまったく賃上げがない中で、経営者の報酬や株主配当を増やすのは納得感がありません。会社側をそう説得し、応じなければそのことをSNSなどで発信しました。ストライキも使います。

──少人数のストライキに効果はあるのですか。

大企業相手だと業務を止めることはできませんが、強い意志を示すことができます。

コロナ禍で変わった非正規の労使交渉

──2023年の実績を見ると、なぜこれまで非正規の賃上げ要求が大々的に行われてこなかったのかと思えてきます。

非正規雇用だと立場が弱く、声を上げたら不利益を被るのではないかと恐れるので、相談にもなかなか来ませんでした。相談に来るのは、たいていクビにされた後。交渉しても解決金を少し取れるかどうかで、労働組合としては厳しかった。その状況がコロナ禍で変わった。

コロナ禍で打撃を大きく受けたのはサービス業で、とくに非正規雇用の人たちが大変な状況にあるという社会的共感が生まれました。個人加入のユニオンに非正規の方々から相談が多く寄せられるようになりました。

多かった相談は、休業補償の不払いと感染対策です。在籍しながら会社側と交渉し、改善を勝ち取りました。非正規の方々が職場に定着しながら組合活動をする形へ、根底から変わった。そういうところに起きたのがインフレでした。

──少人数で賃上げを要求して不利益を被ることはないのですか。

要求に正当性があって世の中で注目されている時には、会社側もそう簡単に手を出せません。また、職場で重要な役割を担っている人が要求することが多いのも理由です。

そうした人は経験年数を重ねて熟練し、新人の2~3倍の業務をこなしながら現場でイレギュラーな事態にも対応して責任を負っている。それなのに賃金は最低賃金とほとんど変わらない。そういう人を攻撃すれば、ほかの従業員も辞めてしまいかねません。

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