上場しても「大金持ち」になれない創業社長の悲哀 上場によって売却できる保有株は多くない
東洋経済オンライン / 2024年3月8日 16時0分
出資をした投資家などがリターンを得るためには、出資先の企業価値が上がってから株を売却すればいい。そこで必要になるのが、IPOです。
IPOをすれば、株を自由に売却できるようになるだけでなく、将来を見据えた企業価値がつくので、出資したときよりも高い値段で売却できることが多い。だから、投資家はスタートアップに対してIPOを求めるのです。
また、M&Aであっても、出資したときの値段よりも高い値段で株式を買い取ってもらえれば、収益が出る形で利益を確定できます。最初からM&Aを目指してほしいという投資家は日本では少ないですが、結果的にはM&Aでもいいわけです。
一方デットによる資金調達、たとえば金融機関からの借り入れの場合は、利子をつけて返せば良いので、銀行から「上場してほしい」とは言われません。これがエクイティとデットの大きな違いといえます。
冒頭でイグジットの種類と意義について述べましたが、これらは投資家目線で見たときの話。社長目線で見ると、少し話が変わります。
まず、IPOは社長にとって「出口」ではありません。上場した後も当然ながら経営は続いていきますから、あくまで「新しいスタート」です。上場した瞬間、すべてを投げ出して辞める、ということは基本的にはできません。
上場すると週刊誌に狙われる?
厳密に言うと、上場後に保有している株式を売ることができますが、売れる株は少しだけです。株をたくさん売ると持ち株比率が変わるため、株式市場から「この社長にとって上場がゴールで、経営する気がないな」と判断され、株価(企業価値)が下がってしまうのです。
そもそも、上場前にベンチャーキャピタルなどから出資を受けているはずで、社長の持ち株比率は高くないケースもあります。よく「上場したらめちゃ金持ちでしょ」と言う人がいますが、必ずしもそうでもなかったりします。
むしろ、上場すると注目度が上がるので、社長が週刊誌に狙われることもあります。皆、誰も知らない会社の社長の飲み会には興味がありませんが、有名な会社の社長がちょっとお行儀の悪いことをすると猛烈に叩かれるものです。
一方、M&Aはどうかというと、これは社長にとって出口になりうるケースがあります。会社や事業を手放すのと引き換えに、社長はリターンを得られるからです。
ただし多くの場合、自分の会社や事業をどこかの会社に売却するタイミングで経営から手を引けず、「2年間は引き続き経営に専念してください(=ロックアップ)」といった条項が付きます。ロックアップの期間が終わったら晴れて自由の身となりますが、それまでは本当の意味でのイグジットとは言えないのです。
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