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上場しても「大金持ち」になれない創業社長の悲哀 上場によって売却できる保有株は多くない

東洋経済オンライン / 2024年3月8日 16時0分

上場を選択するということは、永遠に成長し続ける道を選択したということです。

ベンチャーキャピタルから投資を受けた時点でそこまで明確にイメージしている社長は少ないですが、事業責任や資本市場への説明責任、組織への責任は重くのしかかるようになります。会社の統治の仕組みを整えるのはもちろん、監査役や社外取締役などさまざまな人の目が注がれることになるのも、大きなプレッシャーです。

すると、自分がビジョンやミッションを大事にして会社を立ち上げたにもかかわらず、事業の成長や、守らなければならないこと、コンプライアンスなどに縛られるようになるので、「自分が立ち上げた会社なのにもう自分のものではない」という感覚に陥ります。人格が分離したような感覚がありながらも、これまで以上の責任があるという立場になるのです。

このような現実にさらされると、「責任は重くなったし、人は抜けてしまったし、自分は株を少ししか売れない。一体なんのために上場したんだろうか」となんとも言えない気持ちになることが多かれ少なかれ出てきます。今まで以上にいろんなことを本音で誰かに相談しづらくなるので、孤立感も深まります。

創業者は上場したらハッピーか?

しかし創業者にとって、自分が立ち上げた会社を上場することは、人生を代表するメモリアルな出来事であることは確かです。

上場とは、世間のなかで大きなインパクトを起こせる会社になったということであり、世界中の投資家からの投資=応援の対象になったということでもあります。

上場した企業はパブリックな存在になりますから、まさしく「社会の公器」です。自分が手塩にかけて生み、育ててきた企業がそのような存在にまで育ったのは誇らしいことでしょう。信用力を活かしたさらなる成長オプションを取ることもできます。

また、上場すると、感謝の気持ちも芽生えます。上場は自分一人ではできず、たくさんの人の応援が形になる出来事だからです。支えてもらった方々には強く感謝するようになるでしょう。

お金を出してくれた投資家や一生懸命働いてくれた仲間たちに経済的に報いることができるのも嬉しいことですし、社長自身もすべて売却できるわけではないですが、個人の資産を形成できるのは大きなメリットです。

社長のなかには、「上場して初めて、社会に向き合うスタートラインに立ったと言える」とおっしゃる方もいます。それくらい上場はインパクトの大きい出来事ではあります。もちろん、上場してからも経営は続いていきます。節目ではあるものの、通過点でしかありません。

このように、上場によって得られるものはさまざまです。上場するかどうかは、社長自身が何を大事にするかで決まると言えるでしょう。

徳谷 智史:エッグフォワード 代表取締役

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